著者
小川 園子 牧野 順四郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.78-84, 1981-07-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
22
被引用文献数
4 11

A total of 43 female mice of different strains (AKR/J, BALB/c, C3H/He, C57BL/6, DBA/2J, and ICR/JCL) were tested four times in the virgin period (two times each in estrous and non-estrous stages), three times in the pregnant period, nine times in the lactating period, and once on the next day of weaning. On each test, a male ICR/JCL mouse was introduced into the female's home cage and the social interaction between them was observed for 10min. Darting, Chasing, Attack, Biting, Wrestling, and Boxing were checked as the female's aggressive behavior. It was found that (1) females exhibited very little aggressive behavior in the virgin period in both estrous and non-estrous stages, (2) females of several strains showed intense aggressive behavior in pregnancy, (3) during the early lactating period, females were most aggressive, and thereafter the amount of aggressive behavior gradually declined, and (4) on the next day of weaning, no females exhibited gressive behavior. The behavioral pattern of aggression was very different among the strains, even though they displayed about the same level of aggression.
著者
高橋 阿貴 加藤 克紀 牧野 順四郎
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.73-85, 2004-12-25
被引用文献数
3

本研究では,高・低活動系マウスとその基礎集団であるICR,そして5系統の近交系マウス(BALB,C3H,CBA,DBA,C57BL,ICR)のオープンフィールド行動について検討した。高・低活動系は,他の近交系と比較しても,十分に高活動あるいは低活動であったが,脱糞数には差がなかった。11種の行動項目に基づく行動観察データに主成分分析を適用した結果,4つの主成分が得られ,それらにより全体分散の64%が説明された。第1,第2主成分に基づいて系統比較を行ったところ,オープンフィールド行動の時間的変化には,遺伝的背景の異なる4つの側面(初期値,テスト前半と後半の行動変化,終了値)がある可能性が示唆された。高・低活動系は第1主成分については対照的であったが,第2主成分についてはよく似ており,活動量や脱糞数が大きく異なるBALBとC57BLにおいても同様の傾向が認められたことから,第2主成分はいわゆる「活動性」や「情動反応性」とは独立した特性を示しているようであった。また,高活動系のオープンフィールド行動は基礎集団であるICRとほとんど違いがなく,選択交配による遺伝的変異は主に低活動系において生じたことが明らかとなった。
著者
藤田 統 加藤 宏 牧野 順四郎 岩崎 庸男
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

行動の個体差の原因と形成過程を知るために、我々の研究室で選択交配により作り上げた情動反応性に関する近交系ラット2系統(Tsukuba情動系ラット)および活動性に関する近交系マウス2系統等を用いて、様々な行動遺伝学的、生理生化学的研究を行った。また、Tsukuba情動系ラットを野外フィールドにおいて自然繁殖させ、生態学的研究を行った。1.Tsukuba情動系ラット(THE系とTLE系)のP_1、P_2、F_1、F_2、B_1、B_2を用いてランウェイ・テストの諸測度について古典的遺伝分析を行い、それぞれの遺伝構築を検討したところ、例えば、選択指標である通過区画数には、♀では優勢効果のない中間遺伝が、♂では高情動側への指向優勢が見いだされた。また、各測度間の遺伝相関、諸測度の遺伝率、遺伝子座の推定値を求めたところ、遺伝子座の最小推定値は♀で2〜4、♂で2〜3であった。2.Tsukuba情動系ラットの脳内生化学物質を定量したところ、例えば視床下部のAD濃度がTLEの方がTHEより高いなど、両系の脳内モノアミンおよび代謝産物濃度に様々の生化学的差異が見いだされた。3.Tsukuba情動系ラットのシェルター付きオープンフィールド・両端部屋付き直線走路・I迷路における諸行動、ホーディング行動、穴掘り行動、攻撃行動等が研究され、両系の行動上の差異が比較・検討された。4.Tsukuba情動系ラットの味覚嫌悪学習が、その習得、把持、消去、外部刺激の効果に関して研究された。消去において系統差が見られた。5.ランウェイ、オープンフィールド、I迷路におけるラットとマウスの諸行動を主成分分折して、主因子を抽出した。6.野外フィールドでのTsukuba情動系ラットの性行動、社会行動、日周リズム等が研究され、個体数の推移も分析された。また、野外フィールド育ちによる行動変容についても研究された。