著者
武藤 久枝 加藤 孝正
出版者
中部大学現代教育学部
雑誌
現代教育学部紀要 = Journal of College of Contemporary Education (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
no.9, pp.13-21, 2017-03

本研究の目的は、幼児期の動的学校画(Kinetic School Drawings、 KSD)の人物像の特徴に関する実証的知見を得ることである。保育所年中児298名に対して集団でKSDを実施した。そのうち、本人、友達、先生の3者が描かれた80名のKSDを分析対象として、1)人物像の人数(友達の数、先生の数) 2)描画順位 3)活動内容 4)シンボル(花、木・草、家、蝶、ハート、魚、印) 5)スタイル(包囲、鳥瞰図、透視画、区分化、エッジング) 6)自己像の位置 7)一番大きい人物像 8)高い位置の人物像 9)自己像に最も近い人物像 10)描画水準 11)基底線と太陽について性別の出現を検討した。その結果、性差が認められたのは活動内容、シンボル、スタイルであった。女児がシンボルを描く割合は男児よりも有意に高く、その種類も多かった。また、女児の活動内容における「ブランコ・鉄棒」の出現、およびスタイルにおける透視画の出現はそれぞれ男児よりも有意に高かった。
著者
松尾 久枝 加藤 孝正
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.45-51, 1990
被引用文献数
1

精神遅滞幼児の母子関係解明のために、質問紙による母親の養育態度と現実の母子交渉場面での発話との関連性を子供に対する拒否感に焦点を当てて検討した。対象は15名の中度・軽度精神遅滞幼児(CA:1歳4ヵ月〜5歳1ヵ月)とその母親である。養育態度は、田研・両親態度診断検査(幼児版)の母親用を実施し、「消極的拒否」「積極的拒否」の得点を算出した。母親の発話は、玩具統制下自由遊び場面での発話を分析し、養育態度と母親の発話との相関係数を求めた。その結果、「消極的拒否」「積極的拒否」態度の強い母親ほど子供の発声に対して応答的で、肯定的、共感的内容の発話を多く示した。拒否的養育態度と観察場面での拒否的発話とは一致しないとの結論を得た。拒否的態度の強い母親ほど拒否的発話をしないことがあげられよう。