著者
笛木 司 吉田 理人 田中 耕一郎 千葉 浩輝 加藤 憲忠 並木 隆雄 柴山 周乃 藤田 康介 須永 隆夫 松岡 尚則 別府 正志 牧野 利明
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.336-345, 2018 (Released:2019-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

中国天津市及び上海市の上水道水を用いて「ウズ」の煎液を調製し,煎液中のアルカロイド量を,新潟市上水道水を用いた場合と比較した。中国の上水道水を用いて調製した煎液中のアコニチン型ジエステルアルカロイド(ADA)量は,新潟市上水道水を用いた場合に比べ有意に少なく,この原因として,中国の上水道水に多く含まれる炭酸水素イオンの緩衝作用によりウズ煎煮中のpH 低下が抑制されることが示唆された。また,ウズにカンゾウ,ショウキョウ,タイソウを共煎した場合,ウズ単味を煎じたときと比較して煎液中ADA 量が高値となり、さらにこの現象は中国の上水道水で煎液を調製した場合により顕著に観察された。煎じ時間が一定であっても,用いる水や共煎生薬により思わぬADA 量の変化を生じる可能性が示唆された。また『宋板傷寒論』成立期の医師たちが,生薬を慎重に組み合わせて煎液中のADA 量を調節していた可能性も考えられた。
著者
加藤 憲忠 村本 浩 豊澤 康男 竹田 透
出版者
一般社団法人 日本産業保健法学会
雑誌
産業保健法学会誌 (ISSN:27582566)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.271-279, 2022-07-10 (Released:2023-02-22)
参考文献数
2

現在、促進されている副業・兼業・フリーランス等の働き方における発注者・委託者の責任について、各シンポジストからご報告を頂き、下記のような見解が提示された。 ・ 副業・兼業・フリーランス等の新しい働き方については法的に未整備な部分が多く、特にフリーランスに対する安全衛生には十分な議論が行われていない現状がある。 ・ DX(デジタルトランスフォーメーション)の一つであるフロントローディングという手法は、設計段階で安全配慮を履行すると同時に現場の生産性向上にも寄与する画期的な取組みで、建設業以外の業界にとっても大きなヒントを秘めている。 ・ 雇用類似労働者への産業保健サービスの展開は技術的には可能だが、それを可能とするために解決しなければならない法的課題がある。 本シンポジウムでの議論を通じ、今後ますます拡大するであろう副業・兼業・フリーランス等の働き方において、発注者・委託者の責任範囲の明確化と労働者の健康確保措置は喫緊の課題であるという示唆が得られた。