著者
寳迫 巌 石津 健太郎 東 充宏 加藤 明人
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.12, pp.342-350, 2022-12-01

2030年以降の未来社会は,高齢化や労働人口の他,感染症などの突発的な社会課題にも対応していくことが求められる.情報通信ネットワークは,その社会課題を解決するための基盤として高度化が期待されている.特にBeyond 5Gは,超高速・超低遅延・超多数接続などの特徴をもつほか,上空や海洋への通信エリア拡張,現実世界と仮想世界の融合など,もはや単なる移動通信のためのシステムではなく,移動通信分野以外のシステムとの積極的な連携を図ることにより,これまで困難と考えられてきた社会課題の解決や社会全体の最適化を期待されている.そのため,Beyond 5Gは異分野のシステムが連携できる柔軟な構成となる必要があり,オープンプラットホームとしてのBeyond 5Gを実現する観点からアーキテクチャ技術を確立する必要がある.一方で,テラヘルツ波通信は超高速通信や稠密なエリア展開などBeyond 5Gに最も特徴を与える技術の一つであり,周波数帯の特定など国際標準化における議論も進んでいる.そこで本論文では,多様な機能をオープンに取り込み,サービスに合わせて適材適所に組み合わせたシステム構成を可能にするBeyond 5Gアーキテクチャを提案し,Beyond 5Gにおけるテラヘルツ波通信の利用ケースに着目してケーススタディを行うことにより,アーキテクチャ技術の検証を行う.