著者
加藤 曜子 安部 計彦 三上 邦彦 畠山 由佳子
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

わが国で扱う児童虐待事例の半数はネグレクトであり、その多くは子どもが親と住み続ける。そのため市町村ベースにした虐待再発防止のための支援のあり方が重要な課題となる。本研究においては、1.地域ネットワークが活発な10都市で在宅支援するネグレクト163事例について、在宅アセスメント指標項目及び社会資源項目を利用し量的分析を実施した。虐待の程度、支援期間、親の問題意識、要保護児童対策地域協議会支援から分析した。ネグレクト事例の86.5%は中度以下で支援期間は長かった。児童は総じて年齢が上がるについて心身や行動状況は悪化していた。親の問題意識が乏しく拒否的であれば、支援ネットワークが組まれにくく、適切なサービスが届きにくかった。2.質的分析では成功事例を分析し援助プロセスを明確にした。3.以上から要保護児童・ネグレクト家庭への支援の基本姿勢、支援のために必要な社会資源を分類、重症度からみた支援領域、要保護児童対策地域協議会の支援ネットワークとしてかかわる関係機関連携を年齢別に16タイプ提出した。
著者
加藤 曜子
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.目的児童虐待防止法が成立したのちも、児童虐待事件は多発している。本研究は、平成17年度に予備調査をえて、児童福祉施設退所のケース分析を通し、再発防止のための要因および、支援状況を明らかにする。2.方法安全な退所の要因や条件を理解するため、2001年作成の大阪リスクアセスメント指標をもとに、作成した17項目からなる安全指標をもちいて、平成18年5月から6月にかけて、全国児童相談所187箇所を対象に郵送調査を実施し回答をえた(回収率55.1%)。433件の回答を分析し、個人情報保護に配慮し、PC-SPSSにより統計分析を試みた。調査票は、施設退所、未退所用、施設退所後の再発入所について項目を設けた。3.結果と考察安全指標は退所の際、再発予防としてどのような要因を把握しておくと、退所できるのかを考える枠組みで、17項目から成る。今回退所ケースで17項目の占める割合が高かった項目の上位5位は、(1)親が子を想う(2)親が子への復帰努力をする(3)子どもが家庭復帰を望む(4)虐待が止む(5)援助機関体制があるであった。子どもの年齢により項目は異なった。退所再び施設に再入所した場合、退所して再入所しなかった違いは何かを比べると、(1)子が改善していないこと(2)子の現状を親が理解していないこと(3)保護者としての自覚に欠ける(4)家庭内の人間関係に問題があるが、再入所した場合に問題が残されていたことがわかった。退所時にワーカーに認知された項目を比較することで、さらに、再発予防のためには上記4項目が重要であることが示された。4.結論・課題在宅における再発防止のための施設退所からみた要因がわかった。今後在宅支援から再発し施設入所した事例を詳細に検討し結果を検証していく必要がある。