著者
佐藤 彰宣
出版者
流通科学大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、「個人参加型フットサル」を社会学的に検討するものである。これまで社会学では、スポーツなど趣味をきっかけにした「コミュニティ形成」について関心が寄せられ、「社会関係資本」などの視点から研究が行われてきた。だが、特定の人間関係に基づくはずのチームスポーツを、あえて匿名の「個人」のままでプレーする「個人参加型フットサル」という参与形態は、「コミュニティ形成」や「社会関係資本」の視点だけでは説明できない。よって本研究では、「個人参加型フットサル」という形態がなぜ生まれ、都市空間と地域社会のなかでそれぞれどのように実践されているのかについて、実地調査と文献調査から明らかにする。
著者
北村 裕美 矢野 博己
出版者
流通科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は肥満の予防改善に対する運動の分子メカニズム的効果をオートファジーに着目して検討することであった。KO5マウスでは,20週間の自発運動により副睾丸周囲脂肪量や肝脂肪滴が顕著に減少した。脂肪組織中mRNA発現は,Atg5, Atg7が自発運動により増強し,LC3bが減弱した。脂肪組織中LC3-Ⅱ/LC3-Ⅰ比は自発運動によりWTマウスでは減弱し,KO5マウスでは増強した。KO5マウスでは,自発運動により腸内細菌多様性が低下し,Firmicutes門が減少した。オートファジー関連因子とFirmicutes門やBacteroidetes門との間に有意な関係は確認されなかった。
著者
植村 正治
出版者
流通科学大学
雑誌
流通科学大学論集. 経済・経営情報編 (ISSN:09186417)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.73-95, 1993-09-30
著者
東 淳一
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

東京大学医学部製作による音声分析システム「音声録聞見」により生成される基本周波数(以下F0)およびパワーの数値データを利用した定量的韻律分析プログラム、および分析のための前処理として、「音声録聞見」システムにより書き出されるデータファイルの整形および編集を行うプログラムを、Visual C++により開発した(Windows95対応)。韻律分析プログラムには、・F0およびパワーの平均値と分散を求めるプログラム・F0の分布状況を示す散布図をグラフィック表示するプログラム・F0対パワーの相関係数を算出するプログラム・F0の上昇・下降パタンの動態を定量的に示すプログラム・長時間のF0およびパワーの動態をグラフィック表示するプログラムなどが含まれる。さらに、上記のプログラムを利用し、小規模かつ定量的な日本語方言音声の韻律比較研究などを実施した。
著者
東 利一
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は,サービス・リレーションシップの創出プロセスの解明であった。「新規顧客をどのようにして固定客にするか」という問題意識のもと,百貨店・ブランド化粧品の新規顧客との関係において,以下の2点が明らかになった。①関係性構築のためには,新規顧客の接客当初から信頼の提供が重要である。②関係性構築のためには,新規顧客の接客当初から親近感というBCの魅力が重要である。
著者
三道 弘明 ROY Larke
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,対象を小売業に絞り,そこに存在するいくつかの問題を発掘するとともに,その問題を科学的に解決することを意図した数理モデルを構築した.本研究で発掘した問題は次の4種類である.(1)小売業において新規取扱商品が売れ筋商品であるのか死に筋商品であるのかを如何にして短期間で判断するか.(2)小売業における棚卸しは税法上義務付けられたものと,自主的に行うものとがある.この棚卸しの適切な頻度はどのようにして決めればよいのか.(3)特別展示商品は,展示量が多いほど売れ行きも良い.このような性質を持つ商品の最適発注量や発注点はどのようになるのか.(4)パーソナルコンピュータ等を取り扱う小売業では,追加料金を支払えば,小売業者が独自に実施しているより長い期間の保証契約を行うことができる場合が少なくない.このような場合,追加料金及び保証期間終了後の1回当たりの修理に関する適切な価格設定が問題となる.上に列挙した4種類の問題に対し,(1)テスト販売政策に関する数理モデルを構築し,コンビニエンスストアのデータに基づきその有効性について検証を行った.(2)最適棚卸し頻度に関する数理モデルを構築し,小売業現場でのヒアリング調査結果に基づき有効性について検証を行った.(3)特別展示商品の最適発注量に関する数理モデルを構築した.(4)保証期間延長契約問題を,小売業と消費者間のゲームとして捉え,契約および契約期間終了後の1回当たりの修理に関する最適価格を求めた.
著者
向山 雅夫 崔 相鐵 白 貞壬 趙 命来
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

従来の小売国際化の行動主体は先進国市場の先端的小売企業であったが、近年先進国市場以外の国を母国とする小売企業が国際化し始めているという動きに注目し、なぜそれが可能になるのかを明らかにした。研究の結果、以下のことが明確になった。(1)逆進出と呼ぶべき新興国企業の国際化現象が進行しつつあること、(2)逆進出する小売企業は必ずしも発展途上国を母国とする企業であるわけではなく、従来海外小売企業に進出される国を母体とする企業の国際化行動を逆進出と捉えことができること、(3)逆進出は、母国に進出した先端的小売企業と現地新生小売企業との競争的相互作用の結果としての後者の競争優位獲得によって可能となること。
著者
加藤 曜子 安部 計彦 三上 邦彦 畠山 由佳子
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

わが国で扱う児童虐待事例の半数はネグレクトであり、その多くは子どもが親と住み続ける。そのため市町村ベースにした虐待再発防止のための支援のあり方が重要な課題となる。本研究においては、1.地域ネットワークが活発な10都市で在宅支援するネグレクト163事例について、在宅アセスメント指標項目及び社会資源項目を利用し量的分析を実施した。虐待の程度、支援期間、親の問題意識、要保護児童対策地域協議会支援から分析した。ネグレクト事例の86.5%は中度以下で支援期間は長かった。児童は総じて年齢が上がるについて心身や行動状況は悪化していた。親の問題意識が乏しく拒否的であれば、支援ネットワークが組まれにくく、適切なサービスが届きにくかった。2.質的分析では成功事例を分析し援助プロセスを明確にした。3.以上から要保護児童・ネグレクト家庭への支援の基本姿勢、支援のために必要な社会資源を分類、重症度からみた支援領域、要保護児童対策地域協議会の支援ネットワークとしてかかわる関係機関連携を年齢別に16タイプ提出した。
著者
清水 信年 西川 英彦 岸谷 和広 水越 康介 栗木 契
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

電子書籍産業におけるイノベーション普及やビジネス成否に関して、マーケティングの観点から重要な要素として以下の3点を導出した。第一に、消費者が電子書籍を利用することを促進するために「インターネット・リテラシー」(操作能力や他者との交流能力、リスク理解能力など)を考慮したサービス設計が求められることである。第二に、関係性マーケティングの観点からのビジネス設計の必要性である。第三に、戦略の「計画」ではなく「実践」を重視する「エフェクチュエーション」の観点の重要性である。
著者
近藤 勝直
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、道路審議会(旧)の答申をふまえ,高度情報化時代に対応した都市高速道路における料金体系の再構築をめざして研究したものである。利用者の負担の公平に配慮しつつ、利用者の便をはかり、かつ料金収入の確保のため、料金体系の弾力的運用方法について提案する。現行の料金体系は2車種・均一料金制(入路前払い)であり、これは、料金ブースでの料金収受時間の短縮と出路ブース建設費の節約がその背景にある。しかし、実行段階に入ったETCを前提とすると、車種判別の自動化はもちろん、入口出口はノンストップであり、料金収受の必要はなく、後納方式なり前納方式なりで、走行距離、利用区間、時間帯、交通量(需要)などに応じた課金が可能となる。今回検討したのは、とくに対距離料金制の導入であり、短距離では現行より値下げし、長距離では値上げとなる。この新しい料金体系が交通量におよぼす効果をシミュレートし、渋滞や環境、そして料金収入などに与える影響を評価した。考え方としては、新制度で料金収入が増加することは利用者の理解を得にくいので、料金収入一定の条件下でのありうべき料金水準について検討することがねらいとなった。現在までの試算では、短距離の値下げは短距離トリップを増加させる。これによって、容量的に問題となる路線・区間ができる。一方、長距離の値上げによっては広域的な高速道路を必要とするトリップ(とくに物流トラック)に影響し、これが一般道路に転換するようだと環境上は好ましくない。かように、現行制度を改変すると、課金の合理性は確保できるが、一方で各種の新しい問題も発生する。また、現在試行されている「環境ロードプライシング」についても検討を加えた。これも、なかなか悩ましい問題であり、具体的には、阪神高速道路神戸線(環境問題あり)と同湾岸線(環境問題なし)の2路線間で料金格差によって、問題の神戸線から湾岸線に交通量を誘導しようとするものである。これも計算上も実績上も神戸線の料金弾性値が低く、したがって期待通りの転換がすすまない。神戸線の利用者が値上げについて来る。かえって増収にもなってしまうのである。この原因は上記2路線が真に代替ルートを形成していないことと、環境問題地域前後での車両の入退出が多く、トリップのODを再度精査する必要がある。これらを明らかにした上で、実行のある環境政策としての料金政策による交通誘導をはかる必要があるとの結論を得た。(詳細は印刷した報告書を参照のこと)今後は、さらに車種区分についても考察を加えたい。これは車種ごとに行動パターンやルート選択行動が異なるためである。環境問題が大型車のPM排出にあるとするならば、これに限定した施策が展開されなければならない。そのためには車種ごとの検討が必要である。
著者
近藤 勝直 西井 和夫 衣笠 達夫 長峰 太郎
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

1.各種公益サービス事業の価格・組織制度の理論的整理:事業形態およびサービスの質,公共財と私的財の性格,そして事業展開エリア(国,文化)等の違いにより価格制度が異なる.また事業の目的関数(利益最大か収支均等か)によっても違いがある.本研究ではこれら各種の道路料金理論について総括的にレビューした.日本の高速道路の場合は基本的には公設公営であり,償還制度の元で価格(料金)が設定されるが,国際的にはバライエティがある.ただ,償還に用地費や建設費や資本費を含めると,償還後に矛盾が露呈する.これらを償還からはずしたとき料金水準はいくらになるか,またいくらにすればよいのかについて慎重な検討が必要である.本研究では,建設主体,資金提供者,運営主体,さらに建設後あるいは供用開始後一定期間後の移管,等々の形態についても考察した.2.新しい理念下での価格づけ:料金改定がままならない現在,かといって価格が低いと潜在需要が顕在化し「高速道路」はなくなる.では高速サービスを維持してゆくための水準を求めるために混雑料金や環境税の概念も導入する必要がある.そして,その理念が公共的であれば公的助成が正当化される.しかし高速サービスはあくまでも私的財であるので受益者負担原則が適用される.ここではTDMの観点からいくつかのプライシングについて理論的検討と計算による効果について検証した.(計算例については機会を見て公表の予定である.)
著者
向山 雅夫 ROY Larke 崔 相鐵 田村 正紀
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度および平成14年度においては、1.小売企業のグローバル化を分析するための独自のフレームワークを作成した上で、2.欧州企業はどのような戦略によってグローバル化を実現しているのか、3.なにゆえにそのような戦略展開が可能になるのか、その際の鍵概念は何か、を明らかにした。明らかになったことはおよそ以下のごとくである。1.小売企業のグローバル化を、従来のように「参入動機分析・参入手段・参入状況に関する構造分析・その成果」をばらばらに分析するのではなく、グローバル化行動をプロセスとしてとらえる必要性を提示し、そのための分析枠組みを構築した。2.この枠組みにしたがって、欧州を代表する企業のグローバル戦略を分析し、主としてケーススタディによって、各企業がグローバル展開できた鍵要因を抽出した。それらは次のような要因であった。(1)戦略哲学の変更(2)ブランド管理(3)生産性概念の拡張(4)付加価値チェーン重視(5)新市場への参入(6)業態革新平成15年および16年度においては、1.業態は各国市場間でどのように変容しているのか、2.技術移転の視点から業態変容を分析するための枠組みはどのようなものか、を明らかにすることを目的として、業態実態調査を実施した。明らかになったことはおよそ以下のごとくである。1.調査対象2企業、対象国6カ国での実態調査の結果、業態には各国間および各企業間で大きな差異が存在することが明らかになった。従来の業態概念は、これらの市場間差異を説明する概念としては不完全であり、新たな概念として「Formula」を提起した。2.Formulaは、小売企業による「事前適応-事後適応」行動によって生み出される。グローバル経験を元にして海外進出に先立って市場適応し、さらに現地での知見を加えてさらなる適応行動を繰り返し、それが結果的にFormula差異を生むことになる。流通技術は、この事前適応および事後適応プロセスにおいて移転される。
著者
加藤 曜子
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.目的児童虐待防止法が成立したのちも、児童虐待事件は多発している。本研究は、平成17年度に予備調査をえて、児童福祉施設退所のケース分析を通し、再発防止のための要因および、支援状況を明らかにする。2.方法安全な退所の要因や条件を理解するため、2001年作成の大阪リスクアセスメント指標をもとに、作成した17項目からなる安全指標をもちいて、平成18年5月から6月にかけて、全国児童相談所187箇所を対象に郵送調査を実施し回答をえた(回収率55.1%)。433件の回答を分析し、個人情報保護に配慮し、PC-SPSSにより統計分析を試みた。調査票は、施設退所、未退所用、施設退所後の再発入所について項目を設けた。3.結果と考察安全指標は退所の際、再発予防としてどのような要因を把握しておくと、退所できるのかを考える枠組みで、17項目から成る。今回退所ケースで17項目の占める割合が高かった項目の上位5位は、(1)親が子を想う(2)親が子への復帰努力をする(3)子どもが家庭復帰を望む(4)虐待が止む(5)援助機関体制があるであった。子どもの年齢により項目は異なった。退所再び施設に再入所した場合、退所して再入所しなかった違いは何かを比べると、(1)子が改善していないこと(2)子の現状を親が理解していないこと(3)保護者としての自覚に欠ける(4)家庭内の人間関係に問題があるが、再入所した場合に問題が残されていたことがわかった。退所時にワーカーに認知された項目を比較することで、さらに、再発予防のためには上記4項目が重要であることが示された。4.結論・課題在宅における再発防止のための施設退所からみた要因がわかった。今後在宅支援から再発し施設入所した事例を詳細に検討し結果を検証していく必要がある。
著者
石井 淳蔵 嶋口 充輝 栗木 契 西川 英彦 松井 剛 村下 訓 水越 康介 岸谷 和広 清水 信年 宮内 美穂 金 雲鎬 棚橋 豪 小田部 正明 山本 奈央 吉田 満梨
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、マーケティング競争下におけるデザイン戦略の重要性について、近年注目されつつある「ロバストデザイン」を核概念として、理論的・歴史的・実証的な研究が実施された。その主要な研究成果として、デザイン概念についての再構築が行われるとともに、競争優位性をもつデザイン戦略の現実と意義、そしてその背景としてのマーケティング競争のメカニズムが明らかにされた。