著者
佐藤 昭雄 加藤 督介
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.390-393, 1986-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
9

dopamine receptor-blocking drug metoclopramideを投与して, 甲状腺機能異常症における下垂体Prolactin分泌にご及ぼす内因性dopamineの抑制作用を評価することを試みた.1. 甲状腺機能亢進症ではTRHに対しては低反応であつたが, MCP投与後PRLは有意に上昇した.2. 原発性甲状腺機能低下症ではPRL値は高値でTRHに過大反応がみられたが, MCPに対してはさらに過大反応がみられた.以上のことより甲状腺ホルモンの高値は視床下部のdopamine分泌を刺激し, 甲状腺ホルモンの低値は抑制しているものと思われる.
著者
伊藤 綏 加藤 督介 三宅 良彦
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.445-451, 1975

胃液酸度に関する研究は多いが, これに比べ胃液ペプシンについては基礎的なものの歴史は古いけれど, その臨床的研究はごく最近になつてからである. この原因は多くの研究者が指摘してきた通りペプシン測定法にあつたことは確かである. 我々は比較的簡単な操作で多くの検体を処理し得るSamloff-KleinmannのRadial diffusion法の今村氏変法を用いて胃液ペプシンと消化器疾患との関係を研究した. 目的は胃液酸動態の研究から最近では消化性潰瘍発生の主因はペプシンに移つていることと, 肝, 膵, 腸疾患にみられる消化性潰瘍の発生病理に対する従来の胃酸による説明は不可能であり, どうしても消化管ホルモンとそれに密接な関係を有するペプシン活性が問題となつてくるので, この点を解明することに重点を置いて研究を進めた. 今回は各種酸度を呈した胃炎, 胃潰瘍, 十二指腸潰瘍, 胃癌, 肝炎, 肝硬変症, 胆石症計78例について酸度とペプシンとの関係を観察した.