著者
藤田 禎規 岸 良示 中沢 潔 高木 明彦 長田 圭三 龍 祥之助 宮津 修 渡邉 義之 西尾 智 松田 央郎 石川 由香子 三宅 良彦 中村 雅 望月 孝俊
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.737-743, 2006-09-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は52歳, 女性.心室細動 (Vf) による心肺停止状態となり, 植込み型除細動器 (ICD) 植込み術を施行した.以後Vf発作は認めなかったが, 発作性心房細動 (Paf) によるICDの不適切作動を頻回に認めた.Pafは多剤無効でアミオダロンを使用したが, 甲状腺機能亢進症を生じたため継続不能となった.アミオダロン中止により, 再びPafによるICDの不適切作動を認めた.このため薬物コントロールは困難と考え, カテーテルアブレーションによる房室プロツク作成術および心房リードの追加を行いDDIRペーシングとした.その後はICDの不適切作動は認めなかったが, 7カ月後に失神発作を生じた.ICD記録では, 頻拍イベントは認めなかったが, 入院後の心電図モニターで失神前兆と一致して心停止を認めた.心房波は75bpmの自己調律で, ICDの心内心電図記録から, 心房波のオーバーセンシングによる心室ペーシング抑制と考えられた.
著者
鈴木 規雄 木田 圭亮 明石 嘉浩 武者 春樹 三宅 良彦
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1083-1090, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
6

【目的】蛋白代謝、免疫能、脂質代謝の三つの生体指標から栄養評価するCONUT法が知られているが、心不全における栄養評価方法は十分に確立していない。急性心不全患者に対してCONUT法を用いた栄養評価が、短期予後の予測に有用であるか検討した。【対象及び方法】急性心不全で入院となった連続38名に対し、入院時にCONUT法でスコア化 (CONUT score) 及び栄養評価を行い、短期予後との関連性について調べた。【結果】CONUT法により36名 (95%) が軽度以上の栄養障害と評価された。CONUT scoreは感染症合併群、非合併群において感染症合併群の方が有意に高値 (p=0.02) であり、CONUT scoreが高値であると入院期間が長期化していた (p=0.02)。また、軽快退院群は有意に低値であった (p=0.02)。【結論】多くの急性心不全患者が栄養障害を有している可能性がある事が示唆された。また、CONUT法は早期に急性心不全患者の栄養障害をスクリーニングし、短期予後を予測する簡便な方法として有用性があると考えられた。
著者
中野 恵美 原田 智雄 脇本 博文 長田 圭三 岸 良示 松本 直樹 三宅 良彦
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.319-331, 2009 (Released:2010-05-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

【背景】非虚血性心疾患に合併するリエントリー性心室流出路起源心室頻拍(VT)における必須緩徐伝導路の存在,およびリエントリー回路については,不明な点が多い.【目的】エントレインメントマッピング法を用いて心室流出路起源VTのリエントリー回路を同定する.【方法】非虚血性心疾患に合併した心室流出路起源VT症例51例(男性26例,女性25例,平均年齢50.3±14.5歳)中,6例に8種類のリエントリー性心室流出路起源VTを認めたため,エントレインメントマッピング法による頻拍回路の検討を行った.【結果】エントレインメントマッピングを行った心室流出路93部位中52部位がリエントリー回路上であると診断された(大動脈バルサルバ洞6,左室流出路43,右室流出路3部位).リエントリー回路上これらの52部位は,exit(7),central-proximal(1),inner loop(19),outer loop(25)に分類された.VTは大動脈バルサルバ洞6部位中4部位で,心室流出路46部位中4部位でアブレーションにより停止した(p=0.0002).【結語】心室流出路起源VTのリエントリー回路が,大動脈バルサルバ洞領域と心室流出路に同定された.エントレインメントマッピング法は,リエントリー性心室流出路起源VTにおけるアブレーション至適部位決定に有用であった.
著者
中沢 潔 岸 良示 戸兵 雄子 高木 明彦 長田 圭三 桜井 庸晴 新井 まり子 龍 祥之助 三宅 良彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.151-154, 2001

Brugada症候群は,SCN5A遺伝子異常の家族性突然死症候群である.Brugada症候群の家族の検査は必須と考えており,Brugada症候群の家族の心電図を中心に報告する.当科でBrugada症候群が疑われた患者のうち,12人の協力が得られたので,その家族30人との計42人を対象とした.心電図異常は3家族(3/12家族:25%)に,それぞれ1人ずつ(3/30人:10%)認められた.Brugada症候群のみならず,Lenegre症候群やQT延長症候群を疑う家族員があった.また,Ic群抗不整脈薬負荷を行うことにより,Brugada症候群発見の頻度はさらに増加する可能性があると考えられた.
著者
長田 圭三 三宅 良彦 中沢 潔 松田 央郎 藤田 禎規 西尾 智 龍 祥之助 高木 明彦 岸 良示 原田 智雄
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.17, 2006

症例は47歳,女性.2002年より動悸症状あり,心電図で心房拍動(AF)を認めたため当院紹介受診.頻回に発作繰り返すため,pilsicainide 150mg/3× 処方.投与開始後約1週で歩行中突然の胸部圧迫感を生じ,失神・転倒し頭部打撲.当院救急搬送となった.来院時心電図上洞調律,QT延長なし.経過観察となった.以後動悸・失神は認めなかったが,2005年4月末より動悸あり,5月受診時3:1~2:1の心房粗動(AFL)を認めた.失神,<BR>AFL精査加療のため心臓電気生理学検査施行.AFL持続,頻回刺激で停止しないためpilsicainideを投与. 粗動周期延長をきたし1:1AFLに移行,その後VTに移行し血圧低下したためDCを要した.VTはPESで再現性を持って誘発,burstで停止可能.VPS3連刺激でVF誘発された.<BR>Pilsicainide投与により2種類の致死性不整脈の顕性化を認めた失神症例を経験したので報告する.
著者
伊藤 綏 加藤 督介 三宅 良彦
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.445-451, 1975

胃液酸度に関する研究は多いが, これに比べ胃液ペプシンについては基礎的なものの歴史は古いけれど, その臨床的研究はごく最近になつてからである. この原因は多くの研究者が指摘してきた通りペプシン測定法にあつたことは確かである. 我々は比較的簡単な操作で多くの検体を処理し得るSamloff-KleinmannのRadial diffusion法の今村氏変法を用いて胃液ペプシンと消化器疾患との関係を研究した. 目的は胃液酸動態の研究から最近では消化性潰瘍発生の主因はペプシンに移つていることと, 肝, 膵, 腸疾患にみられる消化性潰瘍の発生病理に対する従来の胃酸による説明は不可能であり, どうしても消化管ホルモンとそれに密接な関係を有するペプシン活性が問題となつてくるので, この点を解明することに重点を置いて研究を進めた. 今回は各種酸度を呈した胃炎, 胃潰瘍, 十二指腸潰瘍, 胃癌, 肝炎, 肝硬変症, 胆石症計78例について酸度とペプシンとの関係を観察した.
著者
金子 睦雄 米山 達哉 山来 貴 磯部 律元 中沢 潔 南家 俊彦 岸 良示 三宅 良彦 桜井 庸晴 松本 直樹 西崎 光弘 岡本 登 渡邉 佳彦
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 = Electrocardiology (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.59-68, 2009-02-05

開発した合成心電図法を用い,標準12誘導心電図(St-ECG)から高位右側胸部誘導の波形を求め,Brugada型心電図自動検出に有用であるか検討を行った.対象はBrugada症候群と診断された19症例66件のSt-ECG,V<SUB>1</SUB>~V<SUB>3</SUB>誘導の一肋間上心電図(Hi-ECG),合成心電図法より求めた合成心電図(Syn-ECG)である.Hi-ECGとSyn-ECGではQRS-T部分の相関は0.74以上と高かった.循環器専門医がcoved型(A:J≧0.2mV),saddleback型(B),軽度coved型(C:J≧0.1mV)と判読したのはSt-ECGではそれぞれ29件,24件,0件で,Hi-ECGを加えると47件,19件,0件であった.Brugada型と判読された66件をSt-ECGのみで自動解析すると検出感度は68%(A:24件,B:20件,C:1件),Syn-ECGを加えると検出感度は85%(A:44件,B:11件,C:1件)に向上した.一肋間上の心電図と合成心電図は相関も高く,本法が臨床および検診でBrugada型心電図の自動検出に有用であることを確認した.