著者
河合 光久 加藤 豪人 高田 麻衣 星 亮太郎 西田 憲生
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.75-78, 2021 (Released:2021-04-14)
参考文献数
11

我々は弊社独自のプロバイオティクスLactobacillus casei Shirota株 (LcS) の腸内環境改善作用に着目し, 脳腸軸を介する機能に関する研究を進めてきた。これと並行して, 脳腸軸に対するLcSの効果を最大限に引き出す発酵乳飲料を開発するため, 使用原料や培養技術等の改良を行い, これまでの飲料に含まれるLcSの菌数・菌密度をさらに向上させることに成功した。そこで, 学術試験の受験による心理的ストレスを感じている健常な医学部生を対象とした二重盲検並行群間比較試験にて, 高菌数および高密度化したLcS発酵乳飲料の効果を検証した。その結果, LcS飲料はプラセボ飲料に比べ, 学術試験が近づくにつれ増加するストレスの体感を軽減し, 唾液コルチゾール濃度上昇を有意に抑制した。また, LcS飲料の摂取は, 睡眠の質を向上させることにより学術試験ストレスに伴う睡眠状態の悪化を軽減することを見出した。以上の成果を活用し, 「機能性表示食品」として届出を行い, 商品の保健機能表示が可能となった。
著者
加藤 豪人
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.175-189, 2019 (Released:2019-10-29)
参考文献数
168

プロバイオティクスは,宿主の常在細菌叢のバランスの改善を介して有益な作用をもたらす生きた微生物として,古くから発酵食品をはじめとした食品に利用されてきた.近年の菌叢解析技術の発展により,種々の疾病の原因として腸内細菌が関与することが明らかになり,プロバイオティクスの利用範囲も健常人だけではなく疾病罹患者にも拡大している.本節では,健常人から免疫系疾患,代謝系疾患,神経系疾患まで種々の健康状態を対象としたプロバイオティクスの有効性を解析しているランダム化比較試験を中心に紹介するが,ヒト試験においてはプロバイオティクスの生理効果が腸内細菌叢の変化を介していることを明確に示す報告は極めて少ない.今後,メタゲノム解析やメタトランスクリプトーム解析等を用いた腸内細菌叢の機能解析やヒトでのプロバイオティクスの効果検証方法などを工夫し,さらにエビデンスを重ねていく必要がある.