著者
加藤 雄二
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ゴシック的要素を扱った作家たちとその作品について、国際的な視野をもって学会発表、研究会活動、論文執筆活動を行った。2008年度には国際メルヴィル学会、フォークナー学会で研究発表を行い、外国人研究者とセミナーを開催した。2009年には日米のエドガー・アラン・ポー学会で研究発表を行い、論文を執筆した。2010年にはホーソーン学会、ディキンソン学会でゴシックを再検討した。ConradとMelvilleに関する論集に寄稿した。2011年にはメルヴィル学会、アメリカMLA全国大会に参加し、海外の研究者と成果の発表を行った。
著者
加藤 雄二
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の課題は、アメリカの作家と作品とおもに日本におけるそれら受容史を、歴史的経緯と現代における文学の理論的理解を考慮に入れながら議論することであった。初年度平成15年度にはアメリカ作家ハーマン・メルヴィルと日本における受容史に焦点をあて、日本の第二次世界大戦前後の文学的風土がきわめてつよくロマン主義を思考しており、反ロマン主義的な側面を強く持つメルヴィルの作品とは相容れない本来的な齟齬をきたしていた様を描写した。次年度には、メルヴィルについての研究でその重要性があきらかになった1970年代以降の日本でのアメリカ文学の受容に焦点をあて、作家村上春樹によるアメリカ作家スコット・フィッツジェラルドの影響の源としての利用が、日本におけるアメリカ文学受容の理論的に重要な側面を代表していることを示そうとつとめた。16年度の後半には、アメリカの現在のアメリカ文学研究のありかたをよりよく知ろうとつとめると同時に、日本の戦後のコンテクストにおいて最も重要であると思われるアメリカ作家ウィリアム・フォークナーの受容と研究を、日本の文学の展開と並行するかたちで議論しようとつとめた。これらの研究によって、戦後開始された日本におけるアメリカ文学研究の問題点がいくぶんか明確になり、今後の研究に資することが可能となっただろう。