著者
加賀谷 紀子
雑誌
八戸学院短期大学研究紀要 (ISSN:21878110)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.81-89, 2016-03-31

我が国は世界一の長寿国である。そのことから認知症の増加に伴い認知症予防の研究や治療が試みられている。昨今、入所施設不足が大きな問題として挙げられているが、家族が介護する理由として、①家族が望んで介護する一つの使命感②経済的理由で施設入所ができない③配偶者の親であるため介護を強いられるなど様々でありこれらに共通することは、介護を担う家族の心身の負担である。家族に一方的に押し付けるのでなく家族の心理的変化を受け止め「認知症の人の理解や接し方の指導などの働きかけ、家族の負担軽減のための自治団体の支援、家族が抱えている悩み、問題の察知-集いなどのへの参加」に加え、負担軽減に繋がるために必要な情報の発信を行うなど看護の果たす役割は大きい。
著者
加賀谷 紀子
出版者
弘前学院大学看護学部
雑誌
弘前学院大学看護紀要 (ISSN:18808867)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.65-71, 2013

本研究の目的は,わが国のハンセン病対策に,皇室の慈善事業と宗教団体がどのように関わったかを明らかにすることである。1931(昭和6 )年,貞明皇后の寄付金により「癩予防協会」が設立され,貞明皇后逝去後の1952(昭和27)年には貞明皇后救癩事業募金の基金をもとに「藤楓協会」に引き継がれた。また,ハンセン病と関係のある真宗大谷派光明会は,宗教と財政面の関係で皇室と深く関わりがあった。国のハンセン病対策は「絶対隔離で癩は撲滅できる」ことを国民に印象付け,大谷光明会や,皇室と関係があった日本Mission To Lepers(以下日本 MTL と称す)は皇室の救癩活動と共に国の政策に其々の役割を担っていった。皇室は財政面での支援と「救済慰安」の名の下に慈善事業を進めていくが,やがて,強大な影響力を持つ医療者の「民族浄化」の考えが大谷光明会や日本MTL の宗教団体に影響を与えていくことになる。皇室を含め其々の関わりは政治との関係において明らかになった。