著者
勝亦 奈緒美 青山 高
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.327-333, 2018 (Released:2018-06-01)
参考文献数
19

病院調理場の衛生状態を拭き取りアデノシン三リン酸(Adenosine triphosphate;ATP)検査法とスタンプ培地法を用いて明らかにし、両検査法の至適条件を検討する。平成28年5月から9月の期間、静岡がんセンター栄養室調理場で定めた8カ所において、両検査法を用いて洗浄・消毒前後をそれぞれ違う日に複数回採取し、検査結果の関連を検討した。8カ所の両検査法における洗浄・消毒前後の検査は各5回実施され、有意に改善していた(p<0.001)。洗浄・消毒前後における拭き取りATP検査法の汚染(500RLU以上)とスタンプ培地法の汚染(11cfu以上)は有意に改善していた(p<0.01)。両検査値の関連は洗浄・消毒前に認められた(r=0.44, p=0.004)。病院調理場の衛生状態を評価する拭き取りATP検査法とスタンプ培地法には意義がある。汚染された洗浄・消毒前の衛生状態はスタンプ培地法に拭き取りATP検査法が相関しており、簡易な拭き取りATP検査法の有用性が示唆された。拭き取りATP検査法は汚染箇所、スタンプ培地法は非汚染箇所の衛生状態を評価するのに適していると考えられた。