著者
青山 高義
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.405-422, 2006-07-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
25

松本盆地南部や伊那盆地北部に発達する南風は,総観スケールの気圧傾度が北東方向に低い場合と,北西方向に低い場合に発達する.前者をNE型,後者をNW型として,二つのタイプの気流に対する地形の影響をスコラー数(l)を用い検討した.NE型は冬季に多く,冬型や二つ玉低気圧で発現し, NW型は暖候期に多く,前線型,日本海低気圧型,移動性高気圧型などで発現する.両タイプの850hPaの風向は250°, lは0.81km-1を境界とし, NE型では風向は北よりでlはより小さく, NW型では南よりでlはより大きな値となって,NE型では山越え気流, NW型では迂回流の性質が強くなると考えられる.それぞれのタイプの850hPaの風と地上の風速,局地的気圧傾度,温位差などとの相関分析を行った. NE型では,局地的気圧傾度や温位差等と高い相関を持って山越え気流の特徴を,NW型では,局地的気圧傾度等と相関を持つが温位差との相関は低く迂回流の特徴を示した.
著者
稲野 利美 山口 貞子 千歳 はるか 梅沢 亜由子 長橋 拓 岡垣 雅美 青山 高 森 直治 東口 髙志 大前 勝弘 盛 啓太 内藤 立暁 高山 浩一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.71-80, 2020 (Released:2020-04-21)
参考文献数
56

【目的】本研究の目的は,進行がんを有する高齢者に対する集学的介入(NEXTAC-ONEプログラム)の栄養介入について詳細を示し,その忍容性を評価することである.【方法】初回化学療法を開始する70歳以上の進行非小細胞肺がんおよび膵がんを対象とし,8週間に3回の栄養介入を行った.標準的な栄養指導に加え,摂食に影響する症状,食に関する苦悩,食環境の問題への対処法を含めたカウンセリングを行い,分枝鎖アミノ酸含有の栄養補助食品を処方した.【結果】計30名の試験登録者のうち29名(96%)が予定されたすべての介入に参加し,遵守率については日記記載率90%,栄養補助食品摂取率99%であった.また治療期間中に栄養状態の悪化を認めなかった.【結論】悪液質リスクの高い高齢進行がん患者において,われわれの栄養介入プログラムは高い参加率と遵守率を有し,化学療法中の栄養状態の維持に寄与した可能性が示唆された.
著者
岡 秀一 青山 高義
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.44-49, 2014-03-31 (Released:2014-04-23)
参考文献数
14
被引用文献数
2

対馬には板倉と呼ばれる倉庫群が発達している.かつてこの板倉は,土地をもち耕作することができる“本戸”と呼ばれる人々のみが所有することができた.耕作可能な土地は西岸域に集中しているので,必然的に板倉の分布も西岸域に偏在していた.板倉は防災対策上主屋から隔離され,小屋屋敷と呼ばれる立地に群をなして設置された.瓦の使用が禁止されていた江戸期にその屋根素材として注目されたのが,対馬の基盤をなしている対州層群であった.対馬の地形や地質をはじめとする特異な自然環境に規制され,またそれらを利用しながら生活する人々の生産様式・生活様式の中で培われてきた石屋根板倉は対馬の象徴であり,大地の遺産にふさわしい存在である.
著者
青山 高
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.679-686, 2017 (Released:2017-11-29)
参考文献数
31
被引用文献数
1

病院食における異物混入インシデント・アクシデント報告を縦断調査し業務改善の実際を明らかにする。静岡がんセンターの2011年4月から2016年3月までの異物混入インシデント・アクシデント報告とした。年ごとに病院食1食当たりの異物混入発生率と混入物、混入元を調査した。全てインシデント報告であった。発生率は2011年より0.006%、0.003%、0.003%、0.006%、0.004%であった。混入物は、毛の混入が最多であり報告件数は厨房内(外);7(1)、5(0)、5(2)、3(6)、7(3)であった。厨房内(外)の混入元の別は21(2)、12(0)、8(2)、9(13)、8(8)であった(p=0.0001253、Fisher's exact test; R)。経年の異物混入状況より業務改善が認められた。異物混入の縦断調査は潜在因子と再発を探索するために有用である。
著者
青山 高義
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.172-184, 1985-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

チロル地方の日降水量分布型とそれに関わる気象条件を整理し,さらに山岳の影響について考察した.まず1956年と1957年の日降水量分布図250枚を,4つの分布型(I, II, III, IV型)に分類した.各分布図に10 km×10 kmのメッシュをかけ,日降水量10mm以上の頻度分布を各降水量分布型ごとに求めた.それぞれの頻度分布図は地形の影響を明瞭に示しており,I型は北方せき止め型,III型は南方せき止め型,又はフェーン型,II型はI型とIII型の漸移型,IV型は全域型である.なおIII型とVI型では,しばしばレインバンドを伴う. 次に,各降水量分布型出現時の天候型,上層風向,対流不安定について検討した.I型,III型は上層風型汎天候のもとに発生し,I型は上層風向NW~Nで安定な成層状態,III型では上層風向SW~Sで相対的に不安定な成層状態の中で発生する傾向がある.IV型は上層風向が南寄りであるが,III型より西成分が大きく,大気は最も不安定である. 日降水量分布には,I型とIII型で山岳のせき止め効果と雨陰効果が認められ,III型とIV型ではこれ等の作用に加えて特定地域にレインバンドを形成する作用などが認められる.そこで,これ等の山岳の影響を先に示した降水頻度分布図に基づいて調べた・地形の影響を隣り合うメッシュ間の頻度差で表せると考え,卓越風向に沿って頻度が増加する場合をせき止め効果,減少する場合を雨陰効果としてその分布を求めた.以上の結果に天気界の出現位置(AOYAHA,1985)を考慮して,せき止め効果,雨陰効果による地域区分をI型(第5図)とIV型(第6図)について行った.またレインバンドについては,1948~1957年のIII型,IV型に分類される大雨日の多雨軸分布を示した(第7図).
著者
青山 高 親川 拓也 村岡 直穂 飯田 圭
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.135-142, 2020 (Released:2020-03-01)
参考文献数
28

本研究は1日推定食塩摂取量(随意尿)と食事習慣上の課題を用いて虚血性心疾患を有するがん患者の栄養指導の効果を判定した。対象は静岡がんセンター循環器内科において2018年4月から2019年3月までに塩分摂取過多が疑われる患者のうち初めて心臓カテーテル検査(CAG)を受け、次回診察日に栄養指導を実施できた18症例とした。栄養指導方法は塩分計量を用いず、食事習慣上に塩分が含まれている食品の使用頻度の改善を指導した。1日推定食塩摂取量と塩分コントロールの必要のある区分(食材、調理、食卓)の頻度を比較した。全18例(男性14例)の年齢は74才(50-85)であった。1日推定食塩摂取量が改善していたのは11例に見られ、非改善症例に比して塩分コントロールの必要のある区分のうち食材の頻度に相対的な減少が認められた(p <0.05)。両群のがん病期stageと消化器系の部位別に差は見られなかった(p =0.56、p =0.63)。がん患者における虚血性心疾患では塩分計量を用いない食事習慣上の栄養指導に効果を得られる可能性がある。本研究は、がん病期stage に隔たりなく治療に向きあおうとしている患者のモチベーションを管理栄養士の視点から支持する取り組みであり、1日推定食塩摂取量が食事習慣に内在している食材の塩分コントロールに照らした指導法により効果が得られる可能性を示した。
著者
青山 高美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.446-452, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)

今では居ながらにして世界中の人と動画を見ながら話ができる。この豊かな生活を可能にしたのは,他ならぬ人の知恵や工夫など人の知的創作物のお蔭である。こうした人の知的創作物を総称して知的財産と呼ぶ。企業はその存続とさらなる発展のためにより優れた商品・サービスの開発にしのぎを削っており,その源泉である知的財産は企業の重要な財産であると同時に,知的財産権は競争の武器でもある。従って,画期的な知的財産の創出と有効な保護,効果的活用は企業の重要な戦略でもある。企業の盛衰は,国家の経済にとっても重要な要素であるので,近年,知的財産が国家戦略としても話題になることが多い。
著者
勝亦 奈緒美 青山 高
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.327-333, 2018 (Released:2018-06-01)
参考文献数
19

病院調理場の衛生状態を拭き取りアデノシン三リン酸(Adenosine triphosphate;ATP)検査法とスタンプ培地法を用いて明らかにし、両検査法の至適条件を検討する。平成28年5月から9月の期間、静岡がんセンター栄養室調理場で定めた8カ所において、両検査法を用いて洗浄・消毒前後をそれぞれ違う日に複数回採取し、検査結果の関連を検討した。8カ所の両検査法における洗浄・消毒前後の検査は各5回実施され、有意に改善していた(p<0.001)。洗浄・消毒前後における拭き取りATP検査法の汚染(500RLU以上)とスタンプ培地法の汚染(11cfu以上)は有意に改善していた(p<0.01)。両検査値の関連は洗浄・消毒前に認められた(r=0.44, p=0.004)。病院調理場の衛生状態を評価する拭き取りATP検査法とスタンプ培地法には意義がある。汚染された洗浄・消毒前の衛生状態はスタンプ培地法に拭き取りATP検査法が相関しており、簡易な拭き取りATP検査法の有用性が示唆された。拭き取りATP検査法は汚染箇所、スタンプ培地法は非汚染箇所の衛生状態を評価するのに適していると考えられた。
著者
青山 高義
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.91-102, 1995
被引用文献数
1

後氷期に異なった植生変遷をたどったと考えられている。ヒノキアスナロとスギの寒冷環境に対する性質を, 現在の天然分布と気候環境を比較することによって検討した。東北地方において, ヒノキアスナロとスギは, 同じ地域に成育することもあるが, ヒノキアスナロは北上山地などのより乾燥した太平洋側に, スギは日本海側のより湿潤な地域に分布している。特にヒノキアスナロの高度限界は, このような水文環境に関連して, 乾燥側で上昇し, 匍匐形で森林限界を越えるという性質を持っている。すなわち, ヒノキアスナロは年水過剰量700mm, 冬3ヶ月の降水量200~300mmで, 暖かさの指数25℃・month の気候環境で成育することができる。<br>最終氷期の温度低下を7℃程度とすると, スギは東北地方が北限地域となって北海道では成育不可能であるが, ヒノキアスナロは降水量が減少した条件下で, 渡島半島で標高約200m, 東北地方で標高約500mまで成育可能で, レフユジアを形成し得たと考えられる。