著者
勝部 三奈子
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究
巻号頁・発行日
vol.17, pp.255-276, 2019

<p>本研究は,日本語教師同士のインタビューの断片を,社会構築主義的な立場から会話分析の行為連鎖と成員カテゴリー化装置という分析概念を用いて微視的に分析し,インタビューにおける質問と回答,説明の行為連鎖の中で用いられるカテゴリー化とその述部の現れ方を記述した。この分析によって,インタビューの説明の達成のために「職人」と「研究者」というカテゴリーとそれに結びつけられる述部が用いられていること,また限られたカテゴリーに関するリソースを一般化することによって所属の教育機関に紐づけられた日本語教師のステレオタイプの構築と分断が行われていたことが,可視化される形で明らかになった。ステレオタイプの構築は意図的ではなく,会話の進行の中で無意識に行われており,このことは日々行われる教師間の会話に内省を促すものである。</p>