著者
三品 拓也 勝野 恭治 吉濱 佐知子 工藤 道治
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.3062-3073, 2008-09-15

提携・合併・買収・アウトソーシングといったビジネス環境の変化と,インターネットのような組織間通信経路の発達により,オフィス文書が組織や会社をまたいでやりとりされる機会が増えている.これにともない悪意のないユーザの誤操作による情報漏洩の可能性が増しており,実際に情報漏洩事故の報告が後を絶たない.このような事故を防ぐために,ユーザの注意力に頼ることなく機密性を確保することが求められている.既存技術であるマルチレベルセキュリティは厳密な情報フロー制御を実現可能であるが,メタ情報欠落問題・機密解除問題という2つの実用上の問題があり,オフィス文書管理システムに適用することは困難であった.そこで本論文ではメタ情報欠落問題を解決するため,オフィス文書の来歴を記録して文書に安全な形で添付する来歴封入と,そのデータ構造を提案する.またオフィス文書の機密解除問題を解決するため,文書よりも細かい文書要素の粒度でセキュリティラベルを付与し,セキュリティラベルに基づいて情報フロー制御を行う細粒度情報フロー制御機構を提案する.その際,ラベル付与は来歴に基づいて可能な限り自動化し,ラベル付与のコストを削減する.さらに,来歴封入と細粒度情報フロー制御機構のプロトタイプをそれぞれODF(Open Document Format)とOpenOffice.orgに実装してその実現可能性を示す.Current business situations require improved confidentiality and integrity for office documents. The Multi-level Security (MLS) model can provide an information flow control feature to content management systems, however, the meta-information lost problem and the declassification problem prohibit the use of the MLS. In this paper we propose a meta-data format called <i>sticky provenance</i> and a fine-grained information flow control system using the sticky provenance. The sticky provenance contains the change history and the labels of an office document in a secure form, and it ensures the confidentiality of the change history of the documents in distributed environments. The fine-grained information flow control system reduces the label creep problem of the information flow control models with the sticky provenance. In other words, the sticky provenance and the fine-grained information flow control system can introduce a practical fine-grained information flow control capability to office applications so that we can ensure the confidentiality of office documents.
著者
金岡 晃 勝野 恭治 岡本 栄司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.682-690, 2010-03-15

電子メールを通じて感染するマスメール型ワームは数多い種類のワームの中で多くの割合を占め,さらに繁殖性や生存力の強さから社会的な問題になっている.現在ワームに焦点を当てた研究が多く行われているが,マスメール型ワームの感染の特徴であるメーリングリストを経由した感染を扱った研究はほとんど行われていないため,マスメール型ワームの感染プロセスの特徴がいまだ詳細に解析されていない.本論文では,メーリングリストの効果を包含したマスメール型ワームの感染数理モデルを提案する.提案モデルは,メーリングリストの効果に加えて,現実社会に沿った電子メールによる社会ネットワーク構造を反映することが可能である.さらに本論文では提案モデルに基づいてシミュレーションを行い,従来研究では分からなかった,メーリングリストの影響効果が感染初期で強く働いていることを解明することができた.
著者
勝野 恭治 相原 達 水谷 晶彦 玉川 憲 Yasuharu Katsuno Toru Aihara Akihiko Mizutani Ken Tamagawa 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 IBM Research Tokyo Research Laboratory IBM Research Tokyo Research Laboratory IBM Research Tokyo Research Laboratory IBM Research Tokyo Research Laboratory
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア = Computer software (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.492-496, 2003-09-25
参考文献数
7

本論文では,様々な携帯デバイスに搭載されている短距離無線通信技術, Bluetoothを用いた距離検出方法を提案する.無線通信として搭載されているBluetoothでデバイス間の距離を検出できれば,デバイスの位置が相対距離で検出できる.そのため,位置情報を利用したサービスをBluetooth搭載デバイスに提供することが可能となる.さらに本方法を用いたアプリケーション例として, Bluetooth搭載腕時計型コンピュータ, WatchpPad 1.5を身につけたユーザーとの相対距離に応じて提供するコンテンツを変えるインフォメーションキオスクシステムを試作し,本方法の有効性を確かめる.