著者
正田 誠 北 宜裕 北 宣裕
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.殺菌剤(ネビジン)耐性菌を収得することに成功した。この菌のiturin生産性は安定していたが、surfactin生産性は低下した。2.この耐性菌を農地に用いて植物病抑制試験を行ったところ、育苗の段階で使用することが有効であることが判明した。3.農業モンカット耐性は元株RB14Cが保持していることが明らかになった。4.RB14Cとモンカットの併用試験をポットにより実施し、使用するモンカットの量を1/5に減らすことができることを証明した。5.トマトの苗立枯病に対する効果をテストした結果、菌体かん注あるいは発芽種子処理と農薬フルトラニルのかん注を組み合わせると高い効果がみられた。6.キュウリホモプシス根腐病の抑制テストを実施した。キュウリの菌を移植する時、RB14Cの菌体懸濁液を根に浸す処理によって顕著な病害抑制がみられた。7.キチナーゼ遺伝子をRB14Cおよび枯草菌M1113に導入し、キチナーゼを生産することを確認した。各種の病原菌とキチナーゼ遺伝子保育菌を混合すると病原菌の菌糸の成長が抑制されることが実証された。8.iturin生合成遺伝子のクローニングに成功した。iturin合成遺伝子は約30kbpからなる巨大分子であり、上流部分に側鎖である脂肪酸合成に関与すると考えられる遺伝子が思い出された。9.surfactin耐性遺伝子をクローニングし、その特性を明らかにした。今まで知られている多剤耐性遺伝子と相関性を示した。この遺伝子の増幅はsurfactinの生産性の向上にはつながらなかった。10.iturinおよびsurfactinの高生産条件元株によるiturinおよびsurfactinuの生産量は数100ppmであったが培地組成を検討した結果、surfactinでは20g/l、iturinは38/lまで生産量を向上させることに成功した。こうして生産性が向上した培養液による植物病抑制効果を検討し、その有効性が証明された。