著者
松本 英樹 北井 隆平 成田 憲彦
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

正常マウス(Jcl:ICR マウス、5 週齡、雄)に炭素線(135 MeV/u、25 keV/μm)を 0.01~2.0 Gy 全身照射し、小腸および精巣でのアポトーシス誘導について精査した。その結果、小腸および精巣共にそれぞれの幹細胞および前駆細胞が分布する部位に特異的にアポトーシスが誘導されていた。また 0.05 Gy 以下の照射においても、小腸では非照射の対照マウスと比較して有意にアポトーシスの誘導が検出され、アポトーシス細胞の出現頻度は線量依存的に増加した。さらに特異的にアポトーシスが誘導されていた細胞を免疫組織化学染色により解析した結果、小腸および精巣いずれにおいてもアポトーシスが誘導されていた細胞は幹細胞およびその前駆細胞であることが明らかとなった。以上の結果から、炭素線の低線量被ばくにより正常組織の組織幹細胞および生殖幹細胞に特異的にアポトーシスが誘導されることが明らかとなった。