著者
北山 眞任 廣田 和美 佐藤 裕
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.967-973, 2010 (Released:2011-02-07)
参考文献数
22
被引用文献数
2

下腹部手術の術後鎮痛は,IV-PCAなどを用いたオピオイドが一般的であるが,体性痛への不十分な効果と過量による副作用が問題となる.一方,局所麻酔薬治療(神経ブロックなど)の併用により,オピオイド減量と術後鎮痛の質的改善が知られている.近年の超音波ガイド下局所麻酔法の普及は,TAPブロックなど腹壁神経ブロックの効果の確実性を高めた.当施設では開腹手術や腹腔鏡手術などに腹壁の末梢神経ブロックを積極的に使用し,鎮痛効果の改善と術中の筋弛緩を得ている.今後,腹壁ブロックの術後鎮痛と患者満足度を向上させる多面的鎮痛(multimodal analgesia)の一つとしての可能性を検討したい.