- 著者
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北崎 太介
小野 健太
渡邉 誠
- 出版者
- 一般社団法人 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
- 巻号頁・発行日
- pp.133, 2016 (Released:2016-06-30)
かつてインターネットの誕生が人々の生活を大きく変えたように、次の時代はバイオテクノロジーが我々の生活を大きく変えるのではないかと言われている。発光生物に分類される夜光虫は、海に浮遊する直径1~2mmの動物プランクトンであり、世界各国の熱帯から温帯の沿岸部にかけて幅広く分布している。波などの物理刺激に反応して一瞬青白く光る性質があり、時折沿岸部では幻想的な光景が確認できる。夜光虫をモチーフにしたデジタルアート作品はいくつか見られるが、夜光虫そのものが応用された事例は少ない。本研究では、夜光虫をアートや工業製品等に実利用するための生物発光制御方法を、培養・刺激実験・制御実験の3段階の過程から考察した。培養からは、夜光虫は水面に浮遊し、特に瓶のような容器中では淵に集中することがわかった。刺激実験からは、夜光虫が生物発光するための物理刺激として、一定以上勢力のある水流、もしくは泡が有効であることがわかった。制御実験では、培養・刺激実験を基に、夜光虫の生物発光を利用し、水中で数字など記号の描画を行った。将来的に遺伝子操作等で発光時間と輝度を高めることで、電球や炎と並ぶ光源になりうると考えられる。