著者
林 孝一 御園 秀一 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.2_9-2_16, 2014-09-30 (Released:2014-10-25)
参考文献数
8

戦後、国内の主なセダンの全幅は大きくは拡大の一途を辿り現在に至っている。唯一、道路運送車両法における「小型自動車」枠の寸法の影響が見られる。一方、1975年以降の燃費規制の影響は、全幅の燃費に及ぼす影響が小さいためほとんどなく、特定の車種での全幅と燃費性能の推移の比較もそれを裏付けている。この様に燃費への全幅の影響が少ないため、室内空間の拡大及び外形の安定感あるプロポーションの追及が重視され全幅は拡大し続けている。一方、全高/全幅の正背面でのプロポーションで見ると、サイドの全高/全長の値と同じ推移であった。即ち人がセダンとして受容し得る全高/全幅の値の範囲が0.81から0.87と考えられ、そこを中心に時代により多少上下し推移している。しかし全高/全長の様に高級車、小型車、大衆車と車格毎の固有値は存在しない。また競合上、全幅の拡大が抑止し難いことは原油高騰や環境問題への対応の必要性と相容れない矛盾である。現在のセダンと軽自動車のシェアの大きな差は、この様なセダンの更なる減少を示唆するものと推測する。
著者
渡邉 誠
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.435-440, 2017-06-10 (Released:2017-06-21)
参考文献数
18
著者
三輪 正幸 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_41-1_50, 2023-07-31 (Released:2023-08-03)
参考文献数
19

養蜂家のニーズに適合したセイヨウミツバチ専用巣箱を開発する際の設計要件を明らかにするために、文献調査とアンケート調査をした。文献調査では、巣箱のデザイン史上、最も重要な巣箱は 1851 年に発表されたラングストロス式巣箱であることが確認できた。この巣箱は内部に可動式の巣板を入れることができ、内部空間を自由に拡大縮小できる構造を採用したことが、現在でも広く使用されている主な要因であることが分かった。国内の巣箱のニーズや巣箱の性能や設計要求に関するアンケート調査をしたところ、プロ養蜂家はハチミツの生産性や品質を重視しているのに対して、趣味養蜂家は作業性や外観のデザインのよさを求めていることが示唆された。国内の養蜂において求められているのは趣味養蜂に特化した巣箱の開発で、その設計要求は巣箱を小型化もしくは軽量化しつつ、周囲の景観に違和感なく適合し、雨避けや横方向に巣箱を拡大させる機能であることが明らかになった。
著者
近藤 祐未 板垣 順平 渡邉 誠介
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.2_49-2_56, 2020-09-30 (Released:2020-10-05)
参考文献数
23

大学による地域連携活動は、いまや自明の理となっている。とりわけ、学生が主体となった活動は、自治体や企業も注目しその成果も期待されている。一方で、活動の主体となる学生にとっては成果だけでなく、自身にとっての経験や達成感、自信、スキルなど、活動を通して何を得られたか、が重要となる。しかし、地域連携活動に関する既往研究の多くは、活動終了時に実施される単発的な振り返りやアンケートをもとにその学習効果について議論されたものが多く、長期的な視点による地域連携活動の学習効果について分析・検討されたものはみられない。筆者自身が取り組んだ長岡造形大学大学院の「地域特別プロジェクト演習」では活動を進める時々に、辛いやしんどいといった意見が多くあったが、活動が終了してからしばらく経ってからの何気ない会話では、その印象や捉え方に変化がみられた。そこで本研究では、「地域特別プロジェクト演習」を研究対象として、実施者である学生の視点から活動の記憶や印象を手掛かりに、省察の変化の過程について検討し、その変化の要因を明らかにすることを目的とする。
著者
渡邉 誠司
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.77-80, 2020 (Released:2020-05-15)
参考文献数
26

L‐カルニチンは, 長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に運び込むために必要な物質である. 体内での生合成はその25%程度しかない準必須の栄養素であり, 欠乏時, おもな貯蔵な場所である筋肉から動員される. 神経・筋疾患は, 一次性, 二次性の筋萎縮, 筋変性に伴い, その貯蔵場所を失い, 摂食・嚥下障害から, L‐カルニチンそのものの摂取が減少する. そして, 脂肪酸の主な利用場所である骨格筋, 心筋の症状が加わる. また, ミトコンドリア病, 全身性炎症などミトコンドリアの機能不全も, その神経・筋における欠乏症状に追い打ちをかける. 本稿では, カルニチンのホメオスタシスを保つ摂取量, 合成, 排泄に加え, 神経保護作用など神経・筋疾患に特有のこれらの病態について概説する.
著者
松井 実 小野 健太 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.5, 2015 (Released:2015-06-11)

設計や設計理念は進化するが,人工物は進化しない.二重相続理論からミーム学,進化経済学の様々な理論を引き合いに,普遍ダーウィニズムを基板に進化学のアナロジーを設計に援用し人工物の系譜について論じる.人工物を時系列的に変化させるのは人工物そのものからの形質の直接的な相続ではなく,より高次の支配的なメカニズムの遺伝によるものである.それが設計や設計理念と呼ばれるものであり,特に後者は極めて長期間の洗礼に耐え形作られてきた,人工物にとっての遺伝子に匹敵するものかもしれない.文化の進化はラマルク的な主体的で意識的なフィードバックの中で考えられることが多いが,ダーウィン主義的な淘汰はより優れた設計理念,アイディアが我々のもつ資源,特に我々自身を消費して繁栄している構図を明らかにする.
著者
東江 麻祐 永瀬 彩子 小野 健太 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.225, 2015 (Released:2015-06-11)

近年, 人間活動による環境破壊が顕在化するにつれ, 持続可能な社会に参画する人間を育てる取り組みとして児童への環境教育に関心が高まっている.環境教育の取り組みの一つとして, 欧州においてはインセクトホテルを用いて昆虫とふれ合うことで自然を体験する方法がある. インセクトホテルとは木枠の中に木の枝や藁など様々なものをつめた人工的な昆虫の住処である.欧州においてインセクトホテルは サイエンスミュージアムや公園に設置されており,環境教育の取り組みとして広く認知されていると言える.日本の学校においても様々な環境教育の取り組みがなされており,「昆虫や植物の観察を通して自然を体験する」といったような内容の,インセクトホテルを用いて学習できるような取り組みもたくさん見受けられる.しかし,日本では知名度が低く普及していないために,インセクトホテルを用いた環境教育が実践されている例は見当たらない. 本研究では,日本においてインセクトホテルを用いた環境教育が実践されるために,日本用に改良したインセクトホテルの開発を行うことと,より教育の現場で実践しやすい指針の提案を目的と定めた.
著者
侯 茉莉 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.17-24, 2010-11-30 (Released:2017-06-24)
参考文献数
14

台湾では戦後早期のデザイン発展およびデザイン教育において、日本からの影響と、米国およびヨーロッパの専門家や学者から多くの協力が得られた。日本の影響のもとに築かれた台湾のデザイン教育が、商工業の発展につれて次第に独自のスタイルを持つようになった。一方、日本でも、ものを作るだけの時代から、更にマーケティング等の視点を取り入れ発展してきた。本論では、100年以上の歴史を経た現在の日本および台湾における高等デザイン教育の状況、また、日本と台湾のデザイン教育の相違を抽出することが目的である。日本の35のデザイン学科および台湾の32のデザイン学科に対し、カリキュラムの調査を行った。具体的には、それぞれのカリキュラムについて、重視されている、あるいは欠けている課程を調べ、数量化理論III類を用いて分析することにより、9つのタイプに分類を行った。それらのタイプと日本、台湾との関係を見ることにより、日本のデザイン教育は多様な要素を含んだ総合的な学問として、台湾のデザイン教育は「ものづくり」ための技術教育を中心に発展してきたことが分かった。
著者
林 孝一 馬場 亮太 御園 秀一 小野 健太 小原 康裕 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_39-6_48, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
25

60年近い歴史をもつ東京モーターショーに出展されたショーカーはそれぞれの時代の社会変化を鋭く反映してきた。本研究は各ショーカーの訴求ポイントをグループ化し、そのコンセプトを、「性能」、「社会対応」、「サイズ」、「付加価値」の4カテゴリーに分類し考察を加えた。その結果、日本の自動車産業とデザインの変遷は7つの時代に分類して精査していくことが適切であるとわかった。さらにその時代ごとのデザインへの期待や役割の変化が以下の4つに区分される事も判明した。1954~70年:欧米のライフスタイルに追従するドリームデザイン、1971~84年:機能とデザインの融合により意味と独自性があるデザインの創生、1985~2008年:製品多様化と市場の飽和を背景とした新規性コンセプトの探求とデザイン領域の拡大、2009年~現在: 環境問題や高齢化を反映した車の次世代モビリティーとしての再構築である。この様に社会情勢の変化に応じたデザインへの期待、役割の変化を明らかにした。
著者
松井 実 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.3_1-3_10, 2016-09-30 (Released:2016-12-21)
参考文献数
42

進化理論の適用範囲は生物にとどまらない.本稿は文化進化の議論を基盤に,設計の進化について論じる.設計は2つに大別される.一方は理念で,機能に関するアイディアや情報である.他方は設計理念に基づいて開発された製品などである.本稿は,前者の設計理念は進化するが,後者の人工物は進化の主体ではないことを示す.設計理念とその発露としての人工物の関係は,生物学における遺伝子型と表現型の関係に似ている.表現型とは,腕や目,行動などをさし,遺伝子型はその原因となる遺伝子の構成をさす.表現型は,生物の製作するものをさすことがある.たとえば鳥の巣やビーバーが製作するダムなどで,「延長された表現型」とよばれる.人工物は設計の表現型ではあるが,人間の延長された表現型ではない.人工物は文化的遺伝子の発露であって,人間の遺伝子の発露ではない.もしそうであれば,人工物の良し悪しによってその製作者の遺伝子が繁栄するか否かが影響されなければならないからだ.進化理論は,とらえがたい複雑な現象である設計を理解するには非常に有用である.
著者
渡邉 誠衛 大野 剛 小林 忠彦 佐渡 高智
出版者
秋田県総合食品研究センター
巻号頁・発行日
no.18, pp.9-16, 2016 (Released:2017-04-28)

我々は、清酒の品質保持と様々な要因との関係を検討している。本報では、ビン内の気相と熟成との関連を検討した結果、清酒への二酸化炭素置換または窒素置換が、貯蔵中のオフフレーバーの発生抑制効果があることが分かった。また、ビンの色と熟成との関連を検討した結果、遮光環境下においても水色のビンにオフフレーバー(硫化物臭、脂肪酸臭等)が強く発生し、銅と高い正の相関があり、添加試験でも再現性が確認できた。
著者
崔 晋海 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.2_21-2_28, 2017-09-30 (Released:2017-12-22)
参考文献数
3

本研究の広義の目的は,戦略的デザインプロセスとは,について答えることである。しかし,まずデザインプロセスを語るためには,デザインプロセスを記述する必要があり,またその記述方法は,他のデザインプロセスと比較検討できるような記述方法でなくてはならない。 そこで本研究は,デザインプロセス同士を比較・検討できる記述方法を模索し,その記述方法に従い,試行としてA社の実際に行われているプロダクトのデザインプロセスを記述し,分類した。 そして実際に,A社の9つのデザインプロセスを記述し,工程数に着目することにより,4つのタイプ(デザイン先行型,ルーチン開発型,市場反映型,デザイン受注型)に分類し,またそれぞれの関係性を明らかにした。
著者
林 孝一 御園 秀一 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_29-6_38, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
37

本研究は戦後日本の自動車デザインと政府の政策と規制の関係性を考察した。戦後復興のための産業保護育成策、輸出振興政策により工業デザイナー育成を目指すデザイン振興策が起り、自動車産業でも技術者とは異なるデザイナーという職種が確立する。「国民車育成要綱」は各社が非採算性を指摘しつつも、参考とし大衆車というジャンルを生み出し、低コスト車のデザインを学び、20年後の変革期に世界を席巻する礎となる。貿易と資本自由化政策では、国内メーカーの合併・提携など現在に至るメーカー間の棲み分けの基礎が築かれた。道路整備政策による舗装と高速道路網の拡大は車体プロポーションに変革をもたらし、'70年代の低全高のウェッジシェープデザインの出現と同調した。安全実験車の開発ではバンパーとボデー構成の一体化への影響が見られた。安全規制は年々追加改正され要求が複雑化しデザイン調整作業の増加に影響している。近年、消費者は排ガス、燃費規制の環境対応に高い関心を持つが、デザインの価値・意味を見失うことはない。
著者
松井 実 竹内 崇馬 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

集団遺伝学における遺伝的浮動と同等の,個体が文化的形質をランダムに模倣するモデルが実世界の様々な形質データを説明することを文化進化学の諸研究は明らかにしてきた.しかし文化的形質が実際にどのように変異し,選択されるかについての実証研究はほとんどなされていない.本研究ではデザインの進化実験で生じた頻度のデータが,ランダムコピーモデルのシミュレーションによる帰無モデルに極めてよく一致することを示す.実験では,デザイナーがよくデザインされていると感じるものを模倣し,よくないと思うものを排除してもらった.同時に新奇のデザインをいくつか考案してもらい,集団に投入した.これを何度も繰り返し,伝達連鎖ネットワークを形成した.その頻度を解析すると,従来デザインの質を向上すると考えられていた様々な処理が有用でないこともわかった.この結果は特定の環境下においてデザインの創造プロセスとその市場での選択はその価値に関係なく行なわれていることを示唆する.
著者
吉田 豊 半澤 惠 桑山 岳人 祐森 誠司 池田 周平 佐藤 光夫 門司 恭典 渡邊 忠男 近江 弘明 栗原 良雄 百目鬼 郁男 伊藤 澄麿 Luis K. MAEZONO Enrique Flores MARIAZZA Gustavo A. Gutierrez REYNOSO Jorge A. Gamarra BOJORQUES 渡邉 誠喜 Yutaka Yoshida Hanzawa Kei Kuwayama Takehito Sukemori Seizi Ikeda Shuhei Sato Mitsuo Monji Yasunori Watanabe Tadao Ohmi Hiroaki Kurihara Yoshio Domeki Ikuo Ito Sumimaro Maezono K. Luis Mariazza Flores Enrique Reynoso Gustavo A. Gutierrez Bojorques Jorge A. Gamarra Watanabe Seiki
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.62-69,

ペルーおよび日本国内で採取したラマ47頭,アルパカ27頭および両者の交雑種1頭とそのアルパカへの戻し交雑種1頭の計76頭の血液を用いて,19座位の血液タンパク質・酵素型を電気泳動学的に解析し,以下に示す成績を得た。1)血漿タンパク質 : Albumin, Haptoglobin,血漿酵素 : Alanine aminotransferase, Aspartate aminotransferase, γ-Glutamyltranspeptidase,赤血球タンパク質 : Haemoglobin,ならびに赤血球酵素 : Acid phosphatase, Catarase, Glucose-6-phosphate dehydrogenase, Phosphoglucomutase, Phosphohexose isomeraseの計11座位では多型は認められなかった。2)血漿タンパク質4座位 : Post-albumin(Po),Gc-protein(Gc),Transferrin(Tf)およびγ-globurin field protein(γG),血漿酵素3座位 : Amylase(Amy),Creatine kinase(CK)およびLeucine aminopeptidase(LAP),ならびに赤血球酵素1座位 : EsteraseD(EsD)の計8座位に多型が認められた。これら8座位のうちTfでは6型,PoおよびGcでは4型,γ-G, AmyおよびEsDでは3型,LAPおよびCKでは2型が認められた。ラマおよびアルパカにおけるこれら8座位の総合的な父権否定率は,0.931および0.867であった。3)ラマとアルパカとの間で血液タンパク質・酵素型を比較したところ,Gc, AmyおよびEsDにおいて種間差が認められた。すなわち,GcおよびAmyでは両種で共通な易動度を示すバンド以外に各々種特有の易動度を示すバンドが存在し,またEsDでは両種間でバンドの易動度が異なっていた。4)ラマとアルパカの交雑種,ならびにアルパカへの戻し交雑種の血液タンパク質・酵素型はラマあるいはアルパカと共通であった。5)CKおよびEsDを除く,17座位の遺伝子頻度に基づいて算出したラマとアルパカとの間の遺伝的距離は0.035であった。以上の成績から,血液タンパク質・酵素型の解析はラマおよびアルパカの集団の遺伝子構成を推定する上で有力な指標となることが明確となった。一方,ラマとアルパカが遺伝的に極めて近縁な関係にあることを裏付けるものと判断された。Blood samples of llamas and alpacas were classified by using electrophoretic procedures in the polymorphism at 19 loci. Electrophoretic variation was found for 8 loci, namely plasma proteins : post albumin (Po), Gc protein (Gc) and transferrin (Tf) and γ-globurin zone protein (γG), for plasma enzymes : amylase (Amy), creatine kinase (CK) and leucine aminopeptidase (LAP), and for red cell enzyme : esteraseD (EsD). Synthetic probabilityes of paternity exclusion about the 8 loci for llamas and alpacas were 0.931 and 0.867, respectively. No variants were found for plasma proteins : albumin and haptoglobin, for plasma enzymes : alanine aminotransferase, aspartate aminotransferase and γ-glutamyltranspeptidase, for red cell haemoglobin, and for red cell enzymes : acid phosphatase, catarase, glucose-6-phosphate dehydrogenase, phosphoglucomutase and phosphohexose isomerase. Nei's genetic distance between llamas and alpacas on the 17 loci (except CK and EsD) was 0.035. Preliminary estimate of the genetic distance measure may suggest that llamas and alpacas are more likely related as subspecies than as separate species.
著者
金 永彬 李 眞烈 蘆澤 雄亮 小原 康裕 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

ショッピングバッグは世界的な環境汚染の大きな要因としてしばしば採り上げられる。 ショッピングバッグの問題点は、持ち手の部分が破れてしまうと使えなくなることである。 今回提案したLizard bagは、持ち手が切れた場合に点線が印刷されている上部と穴の部分を切り取れば再びショッピン グバッグとして使うことができる。また、「もう一度使用する」というコンセプトを考慮し、ショッピングバッグの材質は再生紙を使用することで廃棄されるショッピングバッグの量を削減して行けるものと予想される。
著者
上口 勇次郎 立野 裕幸 渡邉 誠二 外村 泰子
出版者
東京女子大学
雑誌
Science reports of Tokyo Woman's Christian University (ISSN:03864006)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.1297-1303, 1995-03-08

This study was undertaken to examine the cytogenetic effects of microwaves on human spermatozoa, using an interspecific in vitro fertilization system between human spermatozoa and zona-free hamster oocytes. Ejaculated human spermatozoa were exposed in vitro to microwaves from a household electronic range (2.45GHz, 500W) for 5 (Group I) and 10 seconds (Group II). The average temperatures of the sperm suspensions were 29℃ in the non-irradiated control, 38℃ in Group I, and 54℃ in Group II immediately after the microwave irradiation. After irradiation, about 10% of the spermatozoa became immotile in Group I, as did about 50% of the spermatozoa in Group II, due to the heat stress. A total number of 474 spermatozoa were karyotyped in the control: 386 spermatozoa, in Group I, and 506 spermatozoa, in Group II. The incidences of spermatozoa with structural chromosome aberrations were 11.3±1.4%, 11.5±1.6% and 10.3±2.0% in the control and Groups I and II respectively, showing no statistically significant difference between the three groups. The numbers of aberrations per spermatozoon were 0.140±0.023, 0.127±0.027, and 0.123±0.028 respectively in the three groups, also showing no significant difference between them. These results indicate that neither microwave irradiation nor heat stress has a clastogenic effect on human sperm chromosomes.
著者
北崎 太介 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.133, 2016 (Released:2016-06-30)

かつてインターネットの誕生が人々の生活を大きく変えたように、次の時代はバイオテクノロジーが我々の生活を大きく変えるのではないかと言われている。発光生物に分類される夜光虫は、海に浮遊する直径1~2mmの動物プランクトンであり、世界各国の熱帯から温帯の沿岸部にかけて幅広く分布している。波などの物理刺激に反応して一瞬青白く光る性質があり、時折沿岸部では幻想的な光景が確認できる。夜光虫をモチーフにしたデジタルアート作品はいくつか見られるが、夜光虫そのものが応用された事例は少ない。本研究では、夜光虫をアートや工業製品等に実利用するための生物発光制御方法を、培養・刺激実験・制御実験の3段階の過程から考察した。培養からは、夜光虫は水面に浮遊し、特に瓶のような容器中では淵に集中することがわかった。刺激実験からは、夜光虫が生物発光するための物理刺激として、一定以上勢力のある水流、もしくは泡が有効であることがわかった。制御実験では、培養・刺激実験を基に、夜光虫の生物発光を利用し、水中で数字など記号の描画を行った。将来的に遺伝子操作等で発光時間と輝度を高めることで、電球や炎と並ぶ光源になりうると考えられる。
著者
林 孝一 御園 秀一 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.2_17-2_26, 2014-09-30 (Released:2014-10-25)
参考文献数
16

トヨタ自動車のデザイン部門の現在までの組織やデザイン手法等の変遷を5つのフェーズに区分し解析した。第1フェーズは1933~'48年でまだデザイン組織やプロセス、手法も無い期間であった。第2フェーズは'48~'56年で工芸係が誕生したがプロセス、手法はまだ試行錯誤を繰り返していた。第3フェーズの'56~'73年は'56年の米国アートセンターの来日デザイン講習会でのデザイン手法と材料に衝撃を受け、その手法を吸収しデザインの組織も確立していった。第4フェーズの'73~2003年は海外や国内にデザイン拠点を拡大した時期であった。また車種の多様化で'92年には効率化のための組織変更となった。第5フェーズの'03年~現在はデザインフィロソフィー策定等ブランド戦略強化の組織編成へと移行した。以上、モノ造りの組織は当初、開発手法によりその存在意義が左右された。近年は、時代と共に変化する多様化やブランドイメージ強化等の製品に求められるニーズに合わせ組織が変化したことを明らかにした。
著者
鈴木 恭子 八木 佳子 小林 あゆみ 矢本 真也 福本 弘二 渡邉 誠司
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-24, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
8

重症心身障がい児(以下、重症児と略)は、栄養管理上の問題点を多く抱える。栄養摂取経路は、摂食・嚥下障害のため経管になるが、経鼻胃管の例もまだまだ多く、ましてや長期間経腸栄養剤のみで管理されてしまう例も少なくない。近年、胃瘻を積極的に導入し、同時に、ミキサー食推奨の報告も多くなってきた。ミキサー食は、重症児によくみられる消化器症状や、食後高血糖にも効果があるほか、経腸栄養剤で不足しがちな微量栄養素や食物繊維の補給などにも有効である。また、糖質のコントロールや食物アレルギーの対応なども自在に行える。液状栄養剤と異なり、児に負担をかけず短時間注入も可能である。重症児の健やかな発育を援助し、胃瘻からのミキサー食のメリットを生かすには、管理栄養士による指導が不可欠である。