著者
山崎 竜司 小野 健太郎 根木 郁弥 田中 聡 小松原 悟史
出版者
一般社団法人 日本スポーツ理学療法学会
雑誌
スポーツ理学療法学 (ISSN:27584356)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-6, 2024 (Released:2023-09-30)
参考文献数
20

【目的】高校野球選手におけるゼロポジション近似肢位での上肢筋力と僧帽筋下部筋厚の関係を調査することである。【方法】高校野球選手を対象とし,ゼロポジション近似肢位での肩外旋筋力(Zero外旋筋力)と肘伸展筋力(Zeroリリース筋力),僧帽筋下部(LT)筋力,安静時及び収縮時LT筋厚を投球側で測定した。Zero外旋及びリリース筋力とLT筋厚との関係をPearsonの相関係数とSpearmanの順位相関係数を用いて検討した(有意水準は危険率5 %未満)。【結果】 Zero リリース筋力と安静時LT筋厚との間に有意な正の相関(r=0.52, p=0.01)を,Zero外旋筋力と安静時LT筋厚との間には,弱い正の相関(r=0.4, p=0.05)を認めた。【結論】ゼロポジション近似肢位での肩関節外旋及び肘関節伸展筋力発揮には,LT筋厚が関係していることが示唆された。
著者
松井 実 小野 健太 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.5, 2015 (Released:2015-06-11)

設計や設計理念は進化するが,人工物は進化しない.二重相続理論からミーム学,進化経済学の様々な理論を引き合いに,普遍ダーウィニズムを基板に進化学のアナロジーを設計に援用し人工物の系譜について論じる.人工物を時系列的に変化させるのは人工物そのものからの形質の直接的な相続ではなく,より高次の支配的なメカニズムの遺伝によるものである.それが設計や設計理念と呼ばれるものであり,特に後者は極めて長期間の洗礼に耐え形作られてきた,人工物にとっての遺伝子に匹敵するものかもしれない.文化の進化はラマルク的な主体的で意識的なフィードバックの中で考えられることが多いが,ダーウィン主義的な淘汰はより優れた設計理念,アイディアが我々のもつ資源,特に我々自身を消費して繁栄している構図を明らかにする.
著者
東江 麻祐 永瀬 彩子 小野 健太 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.225, 2015 (Released:2015-06-11)

近年, 人間活動による環境破壊が顕在化するにつれ, 持続可能な社会に参画する人間を育てる取り組みとして児童への環境教育に関心が高まっている.環境教育の取り組みの一つとして, 欧州においてはインセクトホテルを用いて昆虫とふれ合うことで自然を体験する方法がある. インセクトホテルとは木枠の中に木の枝や藁など様々なものをつめた人工的な昆虫の住処である.欧州においてインセクトホテルは サイエンスミュージアムや公園に設置されており,環境教育の取り組みとして広く認知されていると言える.日本の学校においても様々な環境教育の取り組みがなされており,「昆虫や植物の観察を通して自然を体験する」といったような内容の,インセクトホテルを用いて学習できるような取り組みもたくさん見受けられる.しかし,日本では知名度が低く普及していないために,インセクトホテルを用いた環境教育が実践されている例は見当たらない. 本研究では,日本においてインセクトホテルを用いた環境教育が実践されるために,日本用に改良したインセクトホテルの開発を行うことと,より教育の現場で実践しやすい指針の提案を目的と定めた.
著者
侯 茉莉 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.17-24, 2010-11-30 (Released:2017-06-24)
参考文献数
14

台湾では戦後早期のデザイン発展およびデザイン教育において、日本からの影響と、米国およびヨーロッパの専門家や学者から多くの協力が得られた。日本の影響のもとに築かれた台湾のデザイン教育が、商工業の発展につれて次第に独自のスタイルを持つようになった。一方、日本でも、ものを作るだけの時代から、更にマーケティング等の視点を取り入れ発展してきた。本論では、100年以上の歴史を経た現在の日本および台湾における高等デザイン教育の状況、また、日本と台湾のデザイン教育の相違を抽出することが目的である。日本の35のデザイン学科および台湾の32のデザイン学科に対し、カリキュラムの調査を行った。具体的には、それぞれのカリキュラムについて、重視されている、あるいは欠けている課程を調べ、数量化理論III類を用いて分析することにより、9つのタイプに分類を行った。それらのタイプと日本、台湾との関係を見ることにより、日本のデザイン教育は多様な要素を含んだ総合的な学問として、台湾のデザイン教育は「ものづくり」ための技術教育を中心に発展してきたことが分かった。
著者
林 孝一 馬場 亮太 御園 秀一 小野 健太 小原 康裕 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_39-6_48, 2014-03-31 (Released:2014-06-10)
参考文献数
25

60年近い歴史をもつ東京モーターショーに出展されたショーカーはそれぞれの時代の社会変化を鋭く反映してきた。本研究は各ショーカーの訴求ポイントをグループ化し、そのコンセプトを、「性能」、「社会対応」、「サイズ」、「付加価値」の4カテゴリーに分類し考察を加えた。その結果、日本の自動車産業とデザインの変遷は7つの時代に分類して精査していくことが適切であるとわかった。さらにその時代ごとのデザインへの期待や役割の変化が以下の4つに区分される事も判明した。1954~70年:欧米のライフスタイルに追従するドリームデザイン、1971~84年:機能とデザインの融合により意味と独自性があるデザインの創生、1985~2008年:製品多様化と市場の飽和を背景とした新規性コンセプトの探求とデザイン領域の拡大、2009年~現在: 環境問題や高齢化を反映した車の次世代モビリティーとしての再構築である。この様に社会情勢の変化に応じたデザインへの期待、役割の変化を明らかにした。
著者
小野 健太 澤田 守 宮下 剛 玉越 隆史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.22-00310, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
19

本論文は,せん断力を受ける鋼I桁を対象として,道路橋示方書で定義される限界状態2について検討した結果を述べるものである.本研究では,まず鋼I桁のせん断載荷試験を行い,得られた荷重応答曲線上に限界状態2として扱える状態を位置づけるとともに,その状態における力学的特性を把握し,力学モデルを提示した.次に,提示した力学モデルを基本としてパラメトリック解析により得られた結果を分析することで,限界状態2として扱える状態の強度評価式を示した.提案した強度評価式は,パラメトリック解析との限定的な比較ではあるが,±6%の誤差で精度良く強度を推定しうることが確認出来た.
著者
松井 実 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.3_1-3_10, 2016-09-30 (Released:2016-12-21)
参考文献数
42

進化理論の適用範囲は生物にとどまらない.本稿は文化進化の議論を基盤に,設計の進化について論じる.設計は2つに大別される.一方は理念で,機能に関するアイディアや情報である.他方は設計理念に基づいて開発された製品などである.本稿は,前者の設計理念は進化するが,後者の人工物は進化の主体ではないことを示す.設計理念とその発露としての人工物の関係は,生物学における遺伝子型と表現型の関係に似ている.表現型とは,腕や目,行動などをさし,遺伝子型はその原因となる遺伝子の構成をさす.表現型は,生物の製作するものをさすことがある.たとえば鳥の巣やビーバーが製作するダムなどで,「延長された表現型」とよばれる.人工物は設計の表現型ではあるが,人間の延長された表現型ではない.人工物は文化的遺伝子の発露であって,人間の遺伝子の発露ではない.もしそうであれば,人工物の良し悪しによってその製作者の遺伝子が繁栄するか否かが影響されなければならないからだ.進化理論は,とらえがたい複雑な現象である設計を理解するには非常に有用である.
著者
崔 晋海 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.2_21-2_28, 2017-09-30 (Released:2017-12-22)
参考文献数
3

本研究の広義の目的は,戦略的デザインプロセスとは,について答えることである。しかし,まずデザインプロセスを語るためには,デザインプロセスを記述する必要があり,またその記述方法は,他のデザインプロセスと比較検討できるような記述方法でなくてはならない。 そこで本研究は,デザインプロセス同士を比較・検討できる記述方法を模索し,その記述方法に従い,試行としてA社の実際に行われているプロダクトのデザインプロセスを記述し,分類した。 そして実際に,A社の9つのデザインプロセスを記述し,工程数に着目することにより,4つのタイプ(デザイン先行型,ルーチン開発型,市場反映型,デザイン受注型)に分類し,またそれぞれの関係性を明らかにした。
著者
松井 実 竹内 崇馬 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

集団遺伝学における遺伝的浮動と同等の,個体が文化的形質をランダムに模倣するモデルが実世界の様々な形質データを説明することを文化進化学の諸研究は明らかにしてきた.しかし文化的形質が実際にどのように変異し,選択されるかについての実証研究はほとんどなされていない.本研究ではデザインの進化実験で生じた頻度のデータが,ランダムコピーモデルのシミュレーションによる帰無モデルに極めてよく一致することを示す.実験では,デザイナーがよくデザインされていると感じるものを模倣し,よくないと思うものを排除してもらった.同時に新奇のデザインをいくつか考案してもらい,集団に投入した.これを何度も繰り返し,伝達連鎖ネットワークを形成した.その頻度を解析すると,従来デザインの質を向上すると考えられていた様々な処理が有用でないこともわかった.この結果は特定の環境下においてデザインの創造プロセスとその市場での選択はその価値に関係なく行なわれていることを示唆する.
著者
金 永彬 李 眞烈 蘆澤 雄亮 小原 康裕 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

ショッピングバッグは世界的な環境汚染の大きな要因としてしばしば採り上げられる。 ショッピングバッグの問題点は、持ち手の部分が破れてしまうと使えなくなることである。 今回提案したLizard bagは、持ち手が切れた場合に点線が印刷されている上部と穴の部分を切り取れば再びショッピン グバッグとして使うことができる。また、「もう一度使用する」というコンセプトを考慮し、ショッピングバッグの材質は再生紙を使用することで廃棄されるショッピングバッグの量を削減して行けるものと予想される。
著者
北崎 太介 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.133, 2016 (Released:2016-06-30)

かつてインターネットの誕生が人々の生活を大きく変えたように、次の時代はバイオテクノロジーが我々の生活を大きく変えるのではないかと言われている。発光生物に分類される夜光虫は、海に浮遊する直径1~2mmの動物プランクトンであり、世界各国の熱帯から温帯の沿岸部にかけて幅広く分布している。波などの物理刺激に反応して一瞬青白く光る性質があり、時折沿岸部では幻想的な光景が確認できる。夜光虫をモチーフにしたデジタルアート作品はいくつか見られるが、夜光虫そのものが応用された事例は少ない。本研究では、夜光虫をアートや工業製品等に実利用するための生物発光制御方法を、培養・刺激実験・制御実験の3段階の過程から考察した。培養からは、夜光虫は水面に浮遊し、特に瓶のような容器中では淵に集中することがわかった。刺激実験からは、夜光虫が生物発光するための物理刺激として、一定以上勢力のある水流、もしくは泡が有効であることがわかった。制御実験では、培養・刺激実験を基に、夜光虫の生物発光を利用し、水中で数字など記号の描画を行った。将来的に遺伝子操作等で発光時間と輝度を高めることで、電球や炎と並ぶ光源になりうると考えられる。
著者
丹保 信人 三根 幸彌 小野 健太 青山 多佳子
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI1290, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】シンスプリントは下腿の代表的なスポーツ障害であり、一般的に運動に伴う下腿遠位内側部の疼痛と圧痛が主訴とされる。理学療法においては足部への介入が中心となることが多く、足底板を使用した介入の報告も多くなされている。今回、股関節・体幹機能に着目した理学療法が奏効したシンスプリント症例2例を経験した。シンスプリントに対する理学療法の一つの視点として有用ではないかと考えられたため以下に報告する。【方法】1.対象対象はシンスプリントと診断された17歳女性(症例A)と16歳男性(症例B)の2例。2例ともに患側は右であった。競技種目は症例Aはバスケットボール、症例Bは野球。理学療法開始前、症例Aは約2ヶ月間、症例Bは約1ヵ月間、他院にて外用薬を処方され経過観察されていた。2.理学療法評価項目股関節・体幹機能評価として股関節周囲筋筋長検査、股関節周囲筋筋力評価(Manual Muscle Testing:MMT)、フロントランジ、胸骨下角の4項目を実施した。また、疼痛の状態をNumerical Rating Scale(NRS)を用いて評価し、疼痛の経過を記録した。前述の股関節・体幹機能評価より得られた問題点に対して運動療法プログラムを立案し、伝達した。3.その他服薬、外用薬の使用はしなかった。装具や足底板についても同様に使用しなかった。【説明と同意】本人に対して本研究の趣旨を説明し、書面にて同意を得た.また、本研究を進めるにあたり竹田綜合病院倫理委員会の承認を得た。【結果】1.初期理学療法評価症例A:理学療法開始時は疼痛によりランニングが困難であり(NRS5)、歩行時にも疼痛が自覚されていた(NRS1)。下腿遠位内側部に圧痛と腫脹を認めた。股関節周囲筋筋長検査は患側大腿筋膜張筋が陽性。MMTは患側腸腰筋3、中殿筋後部線維が2+。患側フロントランジでは患側下肢にknee in-toe outが観察され、患側への骨盤回旋も伴った。胸骨下角に非対称性は観察されなかった。症例B:理学療法開始時は疼痛によりダッシュが困難であった(NRS4)。下腿遠位内側部に圧痛を認めた。股関節周囲筋筋長検査は患側大腿筋膜張筋が陽性。MMTは患側腸腰筋、中殿筋後部線維が2+。患側フロントランジでは症例Aと同様に患側下肢のknee in-toe outと患側への骨盤回旋が認められた。胸骨下角は患側に狭小化が認められた。2.理学療法介入伝達した運動療法内容は硬化筋ストレッチ、中殿筋後部線維筋力増強運動、股関節・体幹筋協調運動(コアエクササイズ)であった。各運動療法の方法や負荷は来院時の評価結果や疼痛の状態に合わせて適宜変更した。理学療法介入中は、運動や日常生活上で患部に疼痛が出現する動作を、本人と相談の上可能な限り制限した。症例Aは2週に1回で計3回、症例Bは週1回で計4回の外来理学療法をそれぞれ実施した。 3.最終評価結果 症例A:下腿遠位内側部の疼痛は消失し部活動にも完全復帰した。大腿筋膜張筋筋長検査は陰性化した。患側腸腰筋、中殿筋後部線維のMMTは4となった。患側フロントランジでのknee in-toe outはわずかに残存したが患側への骨盤回旋は消失した。症例B:下腿遠位内側部の疼痛は消失し部活動にも完全復帰した。大腿筋膜張筋筋長検査は陰性化した。患側腸腰筋、中殿筋後部線維のMMTは4となった。患側フロントランジでのknee in-toe out、患側への骨盤回旋はともに消失した。【考察】シンスプリント2例に対し、股関節・体幹筋の硬化、筋長の変化とそれに伴う弱化に着目し理学療法を行った。大腿筋膜張筋の硬さと、拮抗する中殿筋後部線維の弱化により、疼痛出現近似動作であるフロントランジでは股関節内旋が優位となっていた。また患側への骨盤回旋を伴うことから体幹筋による骨盤コントロールが不十分であることも疑われた。これらのことから、股関節・体幹における複合的な機能障害の結果としてknee in-toe outが生じやすくなっていると考えた。理学療法評価から得られた問題点に対しては、股関節・体幹を協調する機能的複合体として捉え、運動療法プログラムを立案、伝達するように考慮した。症状の消失に至った理由としては、運動療法を通して股関節・体幹機能に改善が得られたことにより、knee in-toe outを防止する効率の良い下行性運動連鎖が獲得されたためではないかと考えた。【理学療法学研究としての意義】シンスプリントに対する理学療法においては、足部からの上行性運動連鎖だけではなく、股関節・体幹からの下行性運動連鎖の影響を考慮することの重要性が示唆された。
著者
杉山 和碓 金 哲浩 小野 健太 渡辺 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.11-18, 1999-03-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
2
被引用文献数
1

デザイン決定プロセスはその企業の状況, 体質などによって異なる。その中で本研究ではデザイン決定プロセスに影響を与えると思われる要素の一つとして組織体系(企業におけるデザイン機能の組織的な位置)を取り上げ, 各企業におけるデザイン決定プロセスと組織体系との関係を明らかにし, 効率的なデザイン決定プロセスを行うための方向性を示すことを目的とした。そして, 各社のプロセスの現状を把握するために調査を行い, 各社のデザイン決定プロセスと組織体系を分類し, 比較を行った。その結果, デザイン決定プロセスの効率化においては, 事業部内デザイン組織の方が, 企業内独立デザイン組織に比べて効率的なプロセスをとっていることが分かった。しかし, 企業内独立デザイン組織であっても, 情報・知識の共有, 思考様式の統一を図るための工夫, 努力をすることによリ, 効率的なプロセスをとることは可能であることもわかった。
著者
萩原 志周 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

近年、2020年東京オリンピックの追加種目に選出されるなどで、サーフィンが注目されている。日本のサーフィンにおいて四季の影響によりウェットスーツの着衣が必要な時期とそうでない時期がある。そして日本では、12 月~4 月と1 年間の約半分の時間をフルウェットのウェットスーツを着用している。 夏の暖かい時期に海への来場者が増える日本において、冬の海では、海の家やシャワー室などの設備がほとんどないのが現状である。そこで本研究では冬場の海におけるサーファーのウェットスーツ脱衣時にどのようなデザインであるべきなのかを調査を通して抽出された課題を踏まえて提案するものである。本研究の最終提案として、冬の海におけるサーファー対象者から見たフ ルウェットスーツ脱衣時の課題改善製品の提案を行う。
著者
八里 大介 小野 健太 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.246, 2015 (Released:2015-06-11)

近年、経済状況の悪化や住民の価値観の多様化によって、行政主導でなく住民による地域活動が求められている。しかし、同じような経済状況・自然環境の2つの地域でも活動の成否が分かれることがある。その要因の一つは人的資源の差である。地域活動の先導役となる人材と、それに続く住民の有無が重要であり、彼らがうまく役割を分担できるような仕組みが求められている。本研究では、具体的な状況を把握するため京成稲毛駅近くで毎年11月に行われている灯篭祭り「夜灯祭」を事例に調査を行った。夜灯祭の運営では、リーダーが作業を細分化できなかったために、後手後手の運営に陥ったケースが見られた。不足が出ればその都度対応していくような現場調整的な運営の特徴があり、調整は立ち話の中で行われていた。そこで立ち話というスタッフ間のチェック機能を用いて、スタッフ会議中に作業の優先順位を決定できるツールを提案することで、リーダーの資質によらない運営を築く一助になると考えた。作業の優先順位をつけるにあたり、予想されるタスク同士のつながりを分類し、これを元に立ち話で抽出したタスクをスタッフ会議中に構造化できるツールを制作した。
著者
小野 健太 渡邉 誠 樋口 孝之 渡邉 慎二 渡邉 誠 樋口 孝之 渡邉 慎二
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

現在,先進国が抱えている問題の多くは,人間関係の希薄化により生じている。本取組みはこの重要な課題に対し,相互扶助を促すデザイン行為をレシプロカルデザインと名付け,方法論・理論を構築し,この新しいデザイン概念の普及を通じて,問題を根本から解決することを目的に実施した。研究期間中,25プロジェクトを実施し,プロジェクト実施のためのルールの明確化を行い。また人間関係の希薄化の原因が,技術の一人化であると考え,調査・分析を行った。それらの内容は,2018年6月に開催されたThe 4th Aslla Symposium(韓国)にて口頭発表を行い,今後,IASDR 2019(英国)への論文投稿を行った。
著者
侯 茉莉 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.11-16, 2010-11-30 (Released:2017-06-24)
参考文献数
9

近年、中国では大学数、大学の学生数、及び研究機構、研究者が急速に増加している。大学進学率は、1990年の3.4%から2007年の23%まで成長した。本論では、急成長する中国の大学におけるデザイン関連学科の教育について、主に、カリキュラムや教育内容について、デザイン系学科を有する主な10校に対し、工業デザイン関連学科の調査を行った。これらのデータより、各大学の特徴をグループとして把握した。その結果、グループは4つに分類でき、中央美術学院、同済大学及び江南大学は、主にプロダクトに対しての技術性の実習科目を学ぶ大学、広州美術学院、北京理工大学及び清華大学のように、基礎知識の養成が重視される大学、湖南大学や復旦大学のように商業ベースの授業の多い大学、浙江大学のように感性に関する課程が多い大学というグループが形成された。また、10校中7校で、クリエイティブデザインという科目が設置されているのが特徴的であった。
著者
松井 実 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.3_1-3_10, 2016

進化理論の適用範囲は生物にとどまらない.本稿は文化進化の議論を基盤に,設計の進化について論じる.設計は2つに大別される.一方は理念で,機能に関するアイディアや情報である.他方は設計理念に基づいて開発された製品などである.本稿は,前者の設計理念は進化するが,後者の人工物は進化の主体ではないことを示す.設計理念とその発露としての人工物の関係は,生物学における遺伝子型と表現型の関係に似ている.表現型とは,腕や目,行動などをさし,遺伝子型はその原因となる遺伝子の構成をさす.表現型は,生物の製作するものをさすことがある.たとえば鳥の巣やビーバーが製作するダムなどで,「延長された表現型」とよばれる.人工物は設計の表現型ではあるが,人間の延長された表現型ではない.人工物は文化的遺伝子の発露であって,人間の遺伝子の発露ではない.もしそうであれば,人工物の良し悪しによってその製作者の遺伝子が繁栄するか否かが影響されなければならないからだ.進化理論は,とらえがたい複雑な現象である設計を理解するには非常に有用である.