著者
北川 俊輝 河西 大悟 下内 良平 児玉谷 仁 神﨑 亮 冨安 卓滋
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2019年度日本地球化学会第66回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.259, 2019 (Released:2019-11-20)

水俣湾は1977年~1990年にかけて25 mg kg⁻¹以上の水銀を含む底質は浚渫・埋め立てが行われたが、未だにバックグラウンドの数十倍の水銀を含む底質が存在する。本研究では2013年~2018年に採取された底質中の総水銀濃度及び底質化学組成の測定を行い、排出された水銀の拡散について検討を試みた。八代海表層底質中総水銀濃度は、水俣湾に近いほど高く、遠ざかるほど低くなる傾向が見られた。底質化学組成を見ると主要成分はSiO₂、Fe₂O₃、Al₂O₃であった。SiO₂に対しFe₂O₃及びAl₂O₃をプロットすると、八代海底質ではともに正の相関が見られ、水俣湾沿岸に近い程それらの割合が高くなる傾向が見られた。水俣湾、袋湾の底質では、SiO₂に対するFe₂O₃、Al₂O₃の割合は八代海底質に比べて高く、SiO₂に対するこれらの値は八代海底質とは明らかに異なる領域にプロットされた。