著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.127-130, 1979

数年前に大英博物館からネパール産のキク科植物標本が京都大学理学部植物学教室に到着した。私に種名の同定をしてほしいとのことであった。そのうち,わかったのは同定して返送したが,むずかしいのが残った。パリー自然史博物館から中国やベトナムのキク科植物標本を送ってもらって,それらを調べつつ,ネパールのキク科植物を再検討した。このほどようやく仕事が一応終った。そのうちの新種を報告する次第である。ヨモギ属の一種。姿や葉は日本のヤマヨモギに似ていて,頭花は大きく,球形で幅5mmほどある。英人が採集したが,1976年には田端英雄氏等もこれを採集した。田端氏等のは花が蕾である。そのほか,キケルビタ属一種。トウヒレン属2種。キオン属2種の発表である。ネパールは中国の四川,雲南と陸続きなので,多数のキク科植物が報告されている四川,雲南と共通する種も多いが,然しネパールに特産する種も可成りある。
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.41-45, 1957-12-10
被引用文献数
3
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.142-147, 1983-11-29
被引用文献数
1
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-19, 1968-08-31

東南アジアおよびヒマラヤのキク科植物の研究のうち,日本に関係の深い植物について,摘要する.ヤマノコギリソウ Achillea alpina L. var. discoidea (PEGEL) KITAMURA が北ベトナム,チヤパに産することがわかった.従来印度支那植物誌ではセイヨウノコギリソウ A. Millefolium L. にあてられていたが,セイヨウノコギリソウは葉が3回羽裂し,葉が2回羽裂するヤマノコギリソウとちがう.セイヨウノコギリソウは,ヨ-ロッパからシベリアに広く分布するが,ヒマラヤでは西からクマオンまであるがネパ-ル以東と東南アジアには野生していない.ヒマラヤのセイヨウノコギリソウは葉に綿毛が多く,日本で時に野生化しているセイヨウノコギリソウとは少し異なる.セイヨウノコギリソウは変異が多いので,綿毛の多いものも同一種に含むべきものと思う.北ベトナムのチヤパは高地で,ヤマノコギリソウのほかにヤマニガナ,ムラサキニガナも日本と同じものがあり,この高地は日華区系の中に含まれるのであろう.然し北ベトナムの低い所は勿論東南アジア区系である.これらは,早田文蔵博士が1917年に当時の仏印で採集された資料にもとずく.ヤマノコギリソウの学名は従来 Achillea sibirica var. discoidea REGEL であったが,ソ聯の APHANASEV (1961) によると,それより古い A. alpina L. (1753) があるので,A. sibirica LEDEB. (1811) は用いられないという.私は A. alpina L. の type は見ていないが,IDC の micro-edition の type 写真で見るとノコギリソウである.Type locality は Siberia であるし,原記載も短いがノコギリソウに一致するので,ノコギリソウの学名に,A. alpina L. を用いるのが正しいと思う.それにもとづいて,ヤマノコギリソウの学名を変更し,また,シュムシュノコギリソウ A. alpina subsp. camtschatica (HEIMERL) KITAMURA,アソノコギリソウ A. alpina subsp. subcartilaginea (HEIMERL) KITAMURA,ホロマンノコギリソウ A. alpina subsp. japonica (HEIMERL) KITAMURA,アカバナノコギリソウ A. alpina subsp. pulchra (KOIDZUMI) KITAMURA その他の学名を更新した.
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.188-189, 1973-03-30
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, 1978-11-30
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.77-92, 1990-09-25

Recently many Chinese specimens were collected by Chinese and Japanese botanists, chiefly in Yunnan, and sent to the herbariums of the Kunming Institute of Botany, the Tokyo University and the Kyoto University. I am still interested in the study of Compositae and identified these specimens. The critical study by new materials is the aim of this report. There are many common species between China and Japan, in this report, newly some common species are added. Acquainted with Yunnan compositae, I studied the Composit specimens of Bhutan formerly collected by S. NAKAO and added some news.
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.277-296, 1932-12-01

シヤウジヤウハグマ族(Vernoniae) シヤウジヤウハグマ屬(Vernonia). I. 海濱に生ずる約10糎ばかりの小さき植物…ハマシヤギク(Vernonia maritima HAYATA). 2米乃至10米に達する攀〓植物…シヤウジヤウハグマ(Vernonia gratiosa HANCE). 30糎乃至80糎に及ぶ直立性の草本…II. II. 果實に毛なく油點がある…ウラジロカツコウ(Vernonia patula MERR.). 果實に毛あり…III. III. 總苞の長さは3.5粍…コバナムラサキムカシヨモギ(Vernonia parviflora REINW.). 總苞の長さは5粍…ムラサキムカシヨモギ(Vernonia cinerea LESS.). シヤウジヤウハグマは本島の特産である。ハマシヤギクはフイリツピンのバタン島にもあるがきはめて稀な植物である。コバナムラサキムカシヨモギはジヤバ,フイリツピン,臺灣南部,小笠原に分布する。ムラサキムカシヨモギは印度,支那,臺灣北部,琉球,九州に及ぶ。ウラジロカツコウは印度,印度支那,馬來,フイリツピンに分布する。本屬は熱帶に大いに繁榮分化したもので,内地には一種ムラサキムカシヨモギのみ九州に分布する。
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.56-60, 1932-04-20

ガランビアザミ(Cirsium albescens KITAMURA.) タカサゴアザミに一見似た形であるけれども總苞の外片が線状披針形で15-13mm.もの長さがあり頭花の直下には澤山にとげの多い苞がある。花は白花が主であるが少しばかり桃色を帶びてゐるものもある。臺灣南端鵞巒鼻に頗る多く風の強いところでは丈は短かいが風のあたらぬところではタカサゴアザミ位になる。モモヤマアザミ(Cirsium Hosokawai KITAMURA.) 高さは22cm.位あり莖には綿毛を密布し下部の葉は橢圓形で11cm.の長さに4cm.の幅がある。先端はするどく尖り底部は莖を抱いてゐる。羽状中裂で7-6對あり裂片の先端にはするどいとげをそなへてゐる。上部は少しく綿毛を布き下部には眞白に綿毛が密布してゐる。頭花は莖や枝の頂きにつき3cm.位の幅がある。總苞の外片は披針形で15-12mm.長2-1mm.幅である。内片は17mm.長位である。各片は直立してゐる。シロバナタカサゴアザミ(Cirsium japonicum DC. var. takaoense KITAMURA.) タカサゴアザミの白花であるノアザミの白花は紫花のものとまぢつて發見されるが臺灣の南部700m.より1500m.まであたりには澤山にこの白花があるけれども北部に多い紫花のタカサゴアザミは見かけない,分布も異なつてゐる。スズキアザミ(Cirsium Suzuki KITAMURA.) 高さ一米に達する植物で葉は莖を抱き葉裏には一面に綿毛を布き眞白である。長く伸びた花梗の先端に花時點頭する大きな頭花をつける。總苞の外片はきはめて小さく卵状橢圓形で3mm.ほどの長さで内にあるものほど次第に長く最内片は線状披針形で18mm.ばかりもある。いづれも其の背部はねばり黒ずんでゐるのが特徴である。ミツザケヂシバリ(Lactuca trifida KITAMURA.) 一寸ヂシバリに似てゐるが葉が大變に違ふのですぐ區別される。葉身は卵形で長い葉柄をそなへてゐて深く三裂する頂部裂片はヘラ形で5-3cm.長側部裂片は3-2cm.長ある。いづれも縁邊は波状をなす。ハマニガナとの區別は其の總苞を見ればよい。ハマニガナでは外片より最内片まで長さにうつり行きがあるがミツザケヂシバリでは外部のものは著しく小さく4-3mm.長しかない。中間の長さのものはなく内片はずつとぬき出て13mm.ばかりの長さである。
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.129-134, 1954-10-20

Polygonum deflexipolosum 丈の高いタデの新種ヒマラヤにはタデ屬は頗る多い。Clematis alternata センニンソウの新種。葉が對生するのがこの屬の通性であるがこれは葉が互生する.Deophiium nepalense ヒエンソウの新種.ヒマラヤには美しいヒエンソウ屬が多い.これは非常に小さい種.Potentilla eriocarpa var. major キジムシロ屬の大變大きなもの,莖が地をはって蛇のようである.Prunus himalaica 赤い花のサクラの新種.P. imanishii 黄色の花咲くサクラで,種名は今西錦司氏を記念せるもの.Sibbaldia minutissima 非常に小さいタテヤマキンバイの新種.Caragana nepalensis ムレスズメの新種.ヒマラヤの北側の乾燥地帯に出る.Utricularia nepalensis タヌキモの新種.苞が莖に盾状につく.Lonicera minutifolia 葉や花の小さいヒョウタンボクの新種.Nardostachys gracilis 有名な薬用植物N. jatamanshiiに近い小さいもの.
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 1962-05-30