著者
大角 明宏 寺西 潔 北村 将司 長澤 みゆき 神頭 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.1080-1083, 2008-11-15 (Released:2009-06-04)
参考文献数
16
被引用文献数
4 3

非常に稀な肺原発の腫瘍である淡明細胞腫の1例を経験した.症例は60歳の女性で,検診で胸部異常陰影を指摘された.診断および治療目的で胸腔鏡下右肺部分切除を行った.病理所見では,淡明な胞体を有する細胞が胞巣状に密に増殖し,間質には毛細血管が増生し,類洞様血管に囲まれていた.特殊染色はPAS陽性,免疫染色ではMelan A陽性であり,淡明細胞腫と診断した.病理学的には腎の淡明細胞癌の転移も完全には否定できなかったが,腹部CT上明らかな腎病変がないことから肺原発の淡明細胞腫と考えられた.
著者
花岡 淳 井上 修平 大内 政嗣 五十嵐 知之 手塚 則明 北村 将司
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.606-612, 2009-05-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
8

症例1は85歳男性.20歳時に胸囲結核に対して手術療法を施行された既往があった.症例2は49歳男性.8ヵ月前まで肺結核に対して抗結核化学療法を施行されていた.両症例とも膿瘍内に腐骨を伴っており,抗結核化学療法開始1ヵ月後でも増大傾向を示した.そのため,注入したインジゴカルミン液をガイドに膿瘍郭清術および肋骨切除術を施行した.術後も抗結核化学療法を継続して行い,現在も再発を認めていない.胸囲結核症例に遭遇する機会は減少したが,胸壁腫瘤の鑑別診断にあげられることに留意しておく必要がある.治療には充分な抗結核薬の投与と適切な時期に徹底した膿瘍郭清を行うことが重要である.