著者
北澤 涼平 小野 晃典
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.29-41, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)
参考文献数
23

本研究は,ファン(コンテンツの自己関連性が低い消費者),マニア(コンテンツの自己関連性が高く,社交性も高い消費者),オタク(コンテンツの自己関連性が高いが,社交性は低い消費者)の3種のコンテンツ消費者を検討する。4つの実験の結果,ファンは,個人的所有感も集団的所有感も低く,レンタル=サブスク型リキッド消費を選択し,マニアは,個人的所有感も集団的所有感も高く,経験価値型リキッド消費とソリッド消費を選択し,オタクは,個人的所有感は高いが集団的所有感は低く,ソリッド消費を選択するという知見を提供する。そうすることによって,本研究は,コンテンツビジネス研究,リキッド消費研究,経験消費研究,心理的所有感研究の発展に貢献する。
著者
北澤 涼平
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.51-57, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
34
被引用文献数
2

対象に対する個人の所有感覚である個人的心理的所有感という概念は,2000年代初期に組織論の文脈において提唱されて以降,製品に対する購買意図や支払い意思額の向上などのマーケティング成果をもたらすために,マーケティング研究に盛んに応用されてきた。さらに,この概念に加えて,対象に対する集団の所有感覚である集団的心理的所有感という概念が提唱されており,組織の効率性などの組織成果に関して,個人的心理的所有感とは異なる帰結をもたらす可能性が指摘されている。それにもかかわらず,マーケティング領域にこの概念を応用することを試みた研究はほとんど存在しない。本稿は,個人的心理的所有感と集団的心理的所有感に関する研究をレビューし,後者の概念の,消費者コミュニティや経験消費などのマーケティング研究への応用可能性を検討する。