著者
浅野 文祐 青江 基 大崎 能伸 岡田 克典 笹田 真滋 佐藤 滋樹 鈴木 栄一 千場 博 藤野 昇三 大森 一光
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.209-218, 2012-05-25 (Released:2016-10-29)
参考文献数
24
被引用文献数
2

目的.呼吸器内視鏡施行実態と合併症を調査するために,日本呼吸器内視鏡学会は郵送による全国アンケート調査を行った.方法.調査用紙をすべての本学会認定および関連認定の538施設に郵送した.対象. 2010年1年間に施行された呼吸器内視鏡症例(診断的気管支鏡,治療的気管支鏡,局所麻酔下胸腔鏡)で病変,手技別に施行件数,合併症,死亡を症例調査表を使用して調べた.結果. 483施設(89.8%)から回答を得た.診断的軟性気管支鏡施行件数は103,978件で4件(0.004%)の死亡を認めた.病変別の合併症率は, 0.51%から2.06%に分布し,びまん性病変が最も高く,手技別の合併症率は0.17%から1.93%に分布し,鉗子生検が最も高かった.末梢孤立性病変に対する鉗子生検の合併症率は1.79%(出血0.73%,気胸0.63%),肺門縦隔リンパ節病変に対する超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)の合併症率は0.46%であった.治療的気管支鏡施行件数は3,020件で,金属ステント挿入による出血1件(0.03%)の死亡を認めた.手技別の合併症率は異物除去(2.20%)が最も高かった.局所麻酔下胸腔鏡施行件数は1,563件であった.合併症率は高周波不使用生検(1.86%)が最も高かった. 228施設(47.2%)で気管支鏡および周辺機器の破損を経験していた.結語.呼吸器内視鏡は安全に施行されていたが,新しい手技の合併症についての啓発が必要である.
著者
瀬戸 貴司 千場 博 瀬戸 眞由美 西田 有紀 深井 祐治
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.303-308, 1999-06-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

初診時に癌性胸水を伴った非小細胞癌70例の予後因子をretrospectiveに検討した.対象症例は同期間に当センターにて診断された非小細胞肺癌634例中の11%で, 9例は胸水細胞診陰性で, フレキシブル気管支内視鏡を用いた局所麻酔下胸腔鏡下胸膜生検にて診断された.89%の症例が腺癌で, 右側胸水貯留例が多かった.単変量解析では, 縦隔リンパ節転移例, performance status不良例, 胸水蛋白低値, 一日胸水排液量が200m1/day以上の症例の予後が不良であった.治療前因子の多変量解析では, 胸水蛋白量と縦隔リンパ節転移の有無が予後因子として残り, さらに, 胸腔内化学療法と全身抗癌化学療法を治療前因子とともに多変量解析を行った結果, 胸腔内化学療法, 全身抗癌化学療法ともに予後因子で, 施行群の予後が良好であった.今後, 比較試験で, 治療の有効性や有効な治療薬を検討していく必要があるが, 予後に影響を与える因子を十分検討する必要がある.