著者
千田 司 亀田 卓 末松 憲治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.10, pp.781-791, 2022-10-01

ミリ波帯(60 GHz帯)を用いたワイヤレスボディエリアネットワーク(wireless body area network: WBAN)は人体遮蔽による干渉電力の減衰が大きいため,混雑環境下におけるWBAN間干渉を解決する手法の一つとして期待されている.一方,各ユーザの位置によっては,それぞれのユーザが干渉を受ける他のユーザ数(干渉数)に偏りが生じるため,通信機会の公平性が低下する.本論文では,WBAN内通信前にWBAN間で搬送波感知多重アクセス/衝突回避(carrier sense multiple access with collision avoidance: CSMA/CA)によるキャリアセンスを行うとともに,ビジー時間率を用いたコンテンションウィンドウ(contention window: CW)制御を行う通信機会公平化手法を提案する.まず,マイクロ波帯とミリ波帯のWBAN間干渉について調査を行い,ミリ波帯WBAN間における通信機会の不公平性が存在することを明らかにした.次に,提案した通信機会公平化手法について,フェアネスインデックス(fairness index: FI)と総通信時間の評価を計算機シミュレーションにて行った.その結果,総通信時間の低下を最低限に抑えつつ,WBAN通信の公平性を大幅に向上可能であることを示した.