著者
山本 行隆 大堺 利行 千田 貢
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.655-660, 1990
被引用文献数
4 12

ニトロベンゼン(イオノフォア,ビス[(ベンゾ-15-クラウン-5)-4'-イルメチル]=ピメレート)/水(NB(BB15C5)/W)界面はK<SUP>+</SUP>及びNa<SUP>+</SUP>イオンに対し,アンペロメトリー型イオン選択性電極(ISE)として作動する.K<SUP>+</SUP>及びNa<SUP>+</SUP>イオンは,両イオンの半波電位が十分離れているので,一つの電極でそれらのイオンを同時に定量できる.このNB(BB15C5)/W界面を親水性の透析膜で覆った実用的なISEを作製した.この膜被覆センサーはK<SUP>+</SUP>-Na<SUP>+</SUP>イオンセンサーとして作動する.このセンサーは,作製操作が非常に簡便であり,作製後30日間安定な応答値を与えた.又,油水界面が直接試験溶液に接しないので,電極界面の安定性を向上させると共に,食品などの実用分析において高分子物質,固形物などの妨害を避けることができる.二,三の食品について試みたところ所期の結果を得た.
著者
梶田 武俊 千田 貢
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.259-265, 1969-06-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
19

AAおよびEAの分解に及ぼす(Fe3+イオンの)影響について検討し,次のごとき結果を得た。(1) AAまたはEA水溶液にFe3+を溶かしたHCl溶液を触媒液として加え,これにO2をふき込みながら反応させると,EAはAAよりも分解が速く,反応20分後に約76%の差を生じ,この差には再現性のあることを認めた。(2) AAまたはEAのFe3+イオンによる触媒酸化は,反応液のpHによって強弱があり,pHが低下するに従って分解はすみやかとなり,触媒活性は大となる。しかし触媒なしでは,たとえ反応液のpHが低下しても分解はほとんど進行しないことを認めた。(3) 共存する塩類が,AAまたはEAの分解に及ぼす影響について検討したところ,イオン濃度が高くなると,AA, EAとも幾分分解は阻害された。(4) AAまたはEAの濃度変化と残存率との関係をみたところ,両酸とも高濃度となるに従って,残存率もわずかに増加する傾向がみられた。なお,混合割合と残存率との間には,一定の濃度範囲内では直線的関係が成立することを認めた。これらの結果よりみて,この分解差を利用して,ある範囲内でAAとEAの同時定量が可能と考えられる。