著者
千葉 美紀子 佐藤 貴美 三浦 悠理子 石戸谷 真帆 勝見 真琴 阿部 裕子 藤巻 慎一 藤原 亨
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.260-266, 2021

<p>Methicillin-resistant <i>Staphylococcus aureus</i>(MRSA)スクリーニング培地を用いての監視培養を導入する目的で,MDRS-K寒天培地(MDRS-K),X-MRSA寒天培地(X-MRSA),クロモアガーMRSAスクリーン培地(関東クロモ),CHROMager MRSA II(MRSA II)を比較検討し,検査フローを考察した。保存菌株を用いた評価では,栄養要求の高いMRSAは,48時間(h)培養で検出率を高められる可能性が示唆された。患者検体を用いた評価では,48 hのpositive predictive value(PPV)/negative predictive value(NPV)(%)は,MDRS-K,X-MRSA,関東クロモ,MRSA IIでそれぞれ100.0/80.0/42.9/100.0,100.0/94.9/75.0/100.0,100.0/89.7/60.0/100.0,93.3/95.9/78.0/98.9であった。夾雑菌の一部は,48 hでMRSA類似コロニーとして観察された。本検討により,スクリーニング培地を用いての監視培養検査は,48 hを最終判定とし,24 hではスクリーニング培地の発育有無のみで判定,48 hでは発色コロニーの同定を追加して判定することにより,低コストで正確性,迅速性に優れた検査が可能と考える。</p>