著者
南谷 林太郎
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.14-19, 2015-01-15 (Released:2015-06-17)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

H2S-NO2-SO2-Cl2環境での銀に対して,新しい大気腐食メカニズムを提案した.銀の大気腐食は,環境中の硫化水素H2Sが二酸化窒素NO2により酸化され生じた還元性硫黄S8による化学反応,この反応で余剰したH2S,NO2が溶解した銀表面の水膜中での電気化学反応により進行する.大気腐食メカニズムに基づき,温湿度,汚染ガスとしてH2S,NO2,Cl2をパラメータに,銀の腐食速度式を提案した.この速度式を公開されている銀の腐食データ110件に適用して,腐食ガス試験環境,実暴露試験環境における銀の大気腐食速度は2倍以内の誤差で推定された.
著者
南谷 林太郎
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.265-271, 2007-06-15 (Released:2007-12-01)
参考文献数
18
被引用文献数
7 11

硫黄ガス環境での銀の腐食を管形容器および箱形容器を用いて検討した.単体硫黄から放出される硫黄ガスは,管形容器内の銀板および箱形容器内の腐食センサの銀電極と反応する.銀板の表面に形成された腐食生成物の厚さはカソード還元法により,銀電極の表面に形成された腐食生成物の厚さはレジストメトリにより測定した.暴露後に銀板および銀電極の表面に形成された腐食生成物を分析し,硫化物であることを確認した.単体硫黄から放出される硫黄ガス環境で銀の腐食速度を決定するのは硫黄ガスの拡散である.単体硫黄から放出される硫黄ガス環境での銀の腐食速度は,腐食反応を考慮した拡散ネットワークモデルを用いて推定される.硫黄ガスは,3×10-5の反応確率に対応する一定速度で銀と反応する.この推定技術は,電子装置の効果的な防食対策を検証し,装置信頼性を向上させるのに有効である.