- 著者
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南雲 康行
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.11, pp.1146-1146, 2014 (Released:2016-09-30)
- 参考文献数
- 3
神経細胞の正常な機能発現には,神経細胞内外におけるCl-の適切な濃度勾配形成と維持が不可欠となる.正常な神経細胞内のCl-は,細胞外よりも低濃度に維持され,この状態が正常に保たれることで,GABAやグリシンによる細胞内へのCl-流入の適切な方向付けと即時的な強い抑制作用を発揮する.成熟神経細胞における細胞内Cl-濃度は,K+―Cl-共輸送体(K+―Cl- cotransporter:KCC2)によって調節される.神経細胞特異的に発現するKCC2は,Cl-の細胞外排出を担うイオン輸送体であり,これによって細胞内のCl-を低濃度に保つことができる.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Coull J. A. et al., Nature, 424, 938-942 (2003).2) Huberfeld G. et al., J. Neurosci., 27, 9866-9873 (2007).3) Gagnon M. et al., Nat. Med., 19, 1524-1528 (2013).