著者
岡田 和夫 印南 比呂志 小杉 功
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-7, 2015-04-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
47

蘇生学の進歩は著しいが,次々と登場する新しい手法を基礎的な見地から見直してみたいと思い,Microsphere法による血流分布について我々がこれまでに行った成績から検討したのが本稿である。この研究がなされた頃は“救命の連鎖”の概念もなく,基礎的な研究に裏打ちされた手法ばかりとは限らないとの思いを持ってきた。 心拍出量の増減だけが蘇生の基本ではなく,減少した心拍出量でもshock時では重要臓器への血液配分が増える機序で,生体は侵襲に対して耐えるようになっている。このような血液配分がどのように変わっているのかについて,過換気時,心マッサージ施行時,低体温療法施行時,アドレナリンなどの血管作動薬投与時で研究した成績を血流分布という見地で横断的にまとめてみた。