著者
楠 裕明 春間 賢 鎌田 智有 原 睦展 眞部 紀明 田中 信治 茶山 一彰 青木 信也
出版者
日本平滑筋学会
雑誌
Journal of smooth muscle research. Japanese section (ISSN:13428152)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.J-163-J-168, 2002-12-27

非侵襲的な固形食の胃排出検査法として^<13>C-octanoic acid呼気試験が用いられつつある.われわれはこれまで超音波法を,非侵襲的な胃運動機能検査法として臨床応用してきたが,今回呼気試験と超音波法の二つの結果を比較した.17名のFunctional dyspepsia (FD)患者と10名の健常人を対象とした. ^<13>C-octanoic acid 100 mg を加えた卵黄でスクランブルエッグを作り,ご飯の上にのせた後市販の親子丼の素をかけて424 kcalの固形試験食とした.試験食を摂取後,超音波法は座位で3時間まで15分間隔で観察し排出曲線を描いた.呼気試験は3時間までを超音波法と同じ15分間隔で,3時間から6時間までを30分間隔で呼気を採取し,赤外線分光機を用いて^<13>C0_2を測定した.両試験の共通した排出動態指標であるT_<1/2>とlag phase を比較検討したが,呼気試験のT_<1/2>と超音波法のT_<1/2>はr^2=0.638と強い相関を示したが,両者の結果が一致する訳ではなかった. T_<1/2>とlag phase は共にFD患者で健常人より延長していた.呼気試験と超音波法の胃内残存率曲線は一致する傾向にはあったが,超音波法でのばらつきが大きかった.