著者
原中 喜源
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.68-78, 2010-02-15 (Released:2011-02-14)
参考文献数
12

大きな横加速度で旋回中の車両に緩制動を加えると,オーバーステア方向のヨーレート変化量が大きくなりスピンを生じやすく緊急事態に至る危険がある.この高横加速度旋回中の緩制動はスピンの危険がある反面,サーキットのコーナー進入で車両の重心まわりの回転運動を誘発し,旋回運動をよりすみやかに発生させるには有利な可能性もある.本実験ではサーキットのコーナー進入で旋回制動中のプロドライバと一般ドライバの緩制動に関する運転挙動を中心に調べた.その結果,プロドライバは一般ドライバにくらべ,旋回制動中に緩制動を多用し必要に応じてスピンを調節しながら,より小さな速度変化量で,より大きな横加速度を車両に与え,車両の方向をよりコーナーの内側へ向ける傾向を示した.一方,一般ドライバは緩制動よりも強制動を用い,車両にプロドライバほどの大きな横加速度を与えないなどの傾向を示した.
著者
原中 喜源 栗原 亮
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.268-276, 2007-10-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1

この実験では半径20mの定常円を旋回中のレーシングドライバと一般ドライバの運転挙動の違いを30km/hで定速旋回した場合とタイヤに横滑りを生じる速度域で走行した場合 (高速旋回) について比較検討した. その結果30km/h定速旋回中の各ドライバの最大横加速度の平均値は一般ドライバのほうが大きくなる傾向があり, 高速旋回では前輪の横滑りが発生する速度の平均値はレーシングドライバのほうが高いことがわかった. これらはカーブを同じ速度で走行していても運転技能の高いドライバほど車の運動状態は安定していることを意味する. また30km/h定速旋回では旋回軌道の修正は操舵により行われる傾向がすべてのドライバにみられるが, 高速旋回ではレーシングドライバはスロットル操作で軌道修正を行っていた. その理由としてレーシングドライバは車のサスペンション特性を利用する能力があるために実験車の運動性能を最大限に利用する操作がスロットル操作による軌道修正であったためと我々は考えた.
著者
原中 喜源 石合 嘉紀 栗原 亮
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.551-557, 2010 (Released:2010-06-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本実験ではサーキットを運転中のプロドライバの前頭前野の脳波活動を高精度携帯型脳波計により計測した. その結果, 単独走行と他車との間に追い越しがある混走では前頭前野のα波とβ波の活動が異なることが示唆された. また, 単独走行のβ波とラップタイムの関係のレース車両開発への応用の可能性を検討した.