著者
原田 一孝 前田 健悟 岡崎 宏光 宮本 光雄 吉永 誠吾 杉 哲
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

子ども達の興味・関心が高く,実用的価値の高い製作教材を種々検討し,ワンチップコンピュータを用いた"電子オルガン"を開発した.これはドレミ...の音階(下のソから上のソまで)2オクターブを発生できる.また,振動数と音の高さとの関連性を調べたり,非音階の音(風の音,幽霊の音など)を発生するために,連続音(496Hz〜4kHz)を発生する機能も付加した.さらに,子ども達に人気のあるメロディー6曲を自動演奏する機能も付加したものが得られた.作る喜びを体験するために,木材の切断・仕上げ・塗装,プリント基板の切断・穴あけ・部品取り付け・ハンダ付け,紙コップを使ったスピーカ部やタッチセンサ部などの組立てにおいてホットボンド接着・ネジ取り付けなど,多くの作業場面を取り入れた授業計画を開発した.夏休みには開発中の"電子オルガン"や昨年度開発した"ヤジロベー"や"崇城博士"の工作教室を熊本市博物館,熊本市中央公民館および天草郡の小学校で実施し,多くの小学生に喜んでもらうと同時に,子ども達の工作スキル並びに指導法の検討を行った.中学校での研究授業は2学期に天草郡本渡市教良木中学校,3学期に水俣市久木野中学校で実施した.この時は"電子オルガン"と"崇城博士"の2教材を用いた.中学生の工作スキルのレベルを見込んで作業場面を増やしたが,実質は小学5・6年生と大差ないように感じられた,知識の面では確実に高レベルにあることが予想されるので,この事を生かした指導法の開発が望まれた.以上の研究授業から"ものづくり"の体験は"総合的に学習する時間"の優れた教材に成り得ることが判明したが,これらの準備・実施に要する手間・暇を考えた場合,現場教師に対する外部援助があって初めて実現可能であると感じる.このため,今後はホームページでノウハウを提供したり,ボランティアグループで援助活動等を計画して行きたい.
著者
原田 一孝
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

昇圧形スイッチトキャパシタ(SC)電源の場合,半導体スイッチをON/OFFするのに,各スイッチのソース電位は電源電圧より高いことが要求されます.一般には,この種のスイッチにはPチャネル形MOSFET似下,P-MOSFETと略記)を用い,駆動回路の簡略化を図りますが,P-MOSFETの特性として,ON抵抗が大きく,特に最終段では,パワーロスの増加が無視できなくなります.そこで,ON抵抗が小さく,飽和電圧も小さなN-MOSFETを用い,リング形SC電源の特性を活かした駆動回路(最終出力電圧より大きな電圧を得る)を提案することによって,高効率の電源が得られました.3段のSC電源の実験結果では,92%の高効率と30%以上の出力電圧の改善が得られました.また,電源負荷が無くなった時,直ちに動作を止め,節電状態に入ることで,特にモバイル機器では電池の消耗を最小限にすることが出来ます.リング形電源についての節電回路も提案し,それらの実験結果やシミュレーション結果を次の国際会議で発表しました(ITC-CSCC 2002,The 2002 International Technical Conference on Circuits/Systems, Computers and Communications,タイ国).モバイル機器の表示器のバックライトとして,エレクトロルミネセンス(EL)は有望視されています.そのような目的に使用するためのSC電源チップを構成しベアチップを試作しました.出力を補強するための0.1・Fキャパシタ4個を外付けした状態でも,6.8mm角,厚さ3mmと非常に薄く小さな電源回路が得られることが分かりました.MOSFETのチャンネル構造から応用範囲はかなり限定されますが,低ノイズ極小容積を持つ電源が得られることが分かったことは,大きな成果と考えます.