著者
原田 三千代 HARATA Michiyo
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.411-423, 2016-03-22

2014年度教育学部日本語教育コース2年生(10名)を対象にした『日本語表現』クラスに対面および、moodleによる非対面の推敲を取り入れたブレンディッド型の教室活動を実施した。その結果、対面・非対面の推敲活動によって、それぞれ対話的な相互作用の特徴を生かした教室活動が可能であることが示唆された。そこで、本稿では、初稿のテキストと推敲活動後に産出されたテキストに焦点を当て、テキストの論述表現に変化が見られたのか、さらに、テキストの変化につながるような相互作用が行われていたのかを探るため、KHcoderによるテキスト分析および相互作用の質的な分析を行った。その結果、対話的推敲活動によって、テキストの語彙量の増加や論述表現の多様性に結びついており、批判的な分析や自分なりの評価を伴う推敲活動がテキストの変化につながったことが示された。
著者
原田 三千代
出版者
桜美林大学言語教育研究所
雑誌
桜美林言語教育論叢 (ISSN:18800610)
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-16, 2011

グローバル化に伴う国際競争力推進の下で、大学の教育カリキュラムは専門化、即戦力に主眼が置かれている。しかし、大学や大学院での研究では、アカデミック・スキルの習得と同時に、自分自身や研究について思考する内容重視の言語教育が必要であり、それが研究者としての持続可能な生き方にも通じるのではないかと考えられる。本研究では、大学院進学予備教育のプログラムにおいて、ツールと同時に内容に重点を置く持続可能性日本語教育を試行した。現職の日本語教師を対象に、研究に対する態度構造の変化を探ることを目的とし、教室活動参加当初、活動終了直後、活動終了半年後にPAC分析を実施した。その結果、活動参加当初は研究に対するイメージが漠然としており、「知る」ことに重点が置かれていたが、活動終了時点は「知る」より「絞る」「深める」を重視し、データの量よりも研究に合ったデータをとることが強調された。活動終了半年後の研究に対するイメージは「研究と実践のリンクする持続可能性」「協働的なスタンス」として収束されていた。研究と実践が相互補完的に関係づけられ、協働的スタンスがそれを下支えするといった構図が示唆される。