著者
三國 喜保子 谷口 美穗 岩下 智彦 川崎 タルつぶら 張 世襲 岩本 尚希
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林言語教育論叢 (ISSN:18800610)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.147-162, 2011

本稿は、日本語学習者の教室外におけるメディア使用の実態を明らかにすることを目的に、6カ国の日本語学習者を対象にアンケート調査を行った調査報告である。調査の結果、学習環境により日本語によるメディア使用の割合に違いがみられたが、使用されるメディア媒体やメディアの種類には一致した傾向があることが明らかになった。特に、インターネット使用の割合はどの地域においても高く、学習者は汎用性に優れたインターネットというメディアを活用して日本語に接触していることが示された。また、オンライン辞書、学習サイトや学習ソフトの使用については、日本国内の学習者にはほとんど使用されていないのに対し、海外においては非常によく利用されていることが示された。学習者属性との関連からは、日本語学習歴が長くなるとインターネットの使用目的が学習から趣味や情報収集、コミュニケーションなど、探究的、双方向的な使用に変化することが示唆された。
著者
石田 由美子
雑誌
桜美林言語教育論叢 (ISSN:18800610)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.109-124, 2008-01-01

個人の言語管理は、国・政府が行う言語政策に大きな影響を受けることは免れず、多言語が日常的に使用されている国・地域に住む個人と、主に一つの言語が優勢な国・地域に住む個人は、それぞれに違った規範をもって言語管理をしていると思われる。本稿では石田(2006)で考察した個人言語管理の概念および個人言語管理における多言語使用者の規範についてさらに深く考察するために、日本社会における日本語母語話者を単言語使用者の例として調査し、特に席次と習得についての規範に焦点をあてて分析を行った。その上で多言語使用者の規範と比較し、単言語使用者の個人言語管理の特徴について考察を行った。
著者
田島 千裕 Cookson Simon Simon Cookson 桜美林大学基盤教育院 桜美林大学ビジネスマネジメント学群
出版者
桜美林大学言語教育研究所
雑誌
桜美林言語教育論叢 (ISSN:18800610)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.79-97, 2011-01-01

Second language (L2) learners try to make language gain through authentic interactions in study abroad (SA) contexts. However, entering into the home of strangers and building a relationship in L2 is a challenging task. As a consequence, there is a possibility that language anxiety, one of the affective factors, may interfere more with the amount of interactions L2 learners have while abroad.This paper fi rst examines the experiences of 26 Japanese university students during a 15-week SA in Canada, comparing pre-departure anxiety and while-abroad anxiety to see the changes in learners' language anxiety level, and then focuses on the interview responses of learners with high anxiety. By analyzing the interview responses, some experiences related to language anxiety were highlighted. This study indicates that anxiety generally decreased after four weeks of SA in most cases. However, some exceptions were observed. First, learners who identifi ed themselves as shy with high pre-departure anxiety continued to have hgh anxiety.Second, learners with limited English profi ciency with high pre-departure anxiety continued to have high anxiety.
著者
新屋 映子
雑誌
桜美林言語教育論叢 (ISSN:18800610)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-14, 2013-01-01
著者
李 麗麗
雑誌
桜美林言語教育論叢 (ISSN:18800610)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.17-31, 2011-01-01

本稿では、日本語教育専攻の中国人大学院留学生(以下中国人院生)を対象とした半構造化インタビューを通して、中国人院生がアカデミック・インターアクション(AI)に関わる実践共同体へ十全参加を進めていく過程を明らかにすることを試みた。正統的周辺参加理論に沿って分析・考察した結果、以下の3 点の変容が明らかになった。1. 中国人院生のAI 能力の向上の程度には個人差と多様性がある。2. 参加するAI 活動が豊富になり、他者との協働関係と親密関係が構築された。3. 中国人院生のアイデンティティは「日本語学習者」から「日本語先生の卵」、「研究者」などの熟練したアイデンティティに変容した。周辺的参加から十全的参加へと移行する大きな突破口は他者肯定と個人の意欲による情意面の要因に密接にかかわっているが、その根本には研究効力感が重要な役割を担っていることがわかった。