著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.49-61, 2003-12-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
40

本稿では,ITに関するアウトソーシング,内部調達,並存型,という代替的な利用形態の可変費用削減効果を測定した.その結果,製造業では内部調達,アウトソーシング,非製造業ではアウトソーシングにコスト削減効果が確認された.しかし,並存型については費用削減効果は確認されなかった.したがって,組織能力の点では,短期的にはスタック・イン・ザ・ミドルの現象が確認されたのである.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.64-90, 2002-12-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
26

本稿の目的は,日本の製造業におけるNC工作機械の技術普及を分析対象とし,その規定要因を実証的に明らかにすることにある.本稿の基本的な主張は,NC化以前の旧技術における学習,知識の蓄積が新技術の採用を促進する要因であったというものである.換言すると,代替的な新・旧技術間には,技術能力の点でスピルオーバー効果が存在しており,それが技術普及に決定的に重要な役割を果たしていたのである.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.78-96, 1998 (Released:2022-07-27)

本稿の目的は,研究開発組織におけるゲートキーパーの役割について中堅工作機械メーカから収集したデータをもとに再検討を行うことにある.既存の研究では,ゲートキーパーの受け持つ機能として,①情報収集機能,②情報伝達機能,が指摘されてきたが,現在では,それに加え,③知識転換機能が重要な役割を果たしていることを議論する.そして,これらの機能のうち,情報収集機能と知識転換機能には別々の異なった,しかも相対立するスキルが要求されるため,ゲートキーパーとコミュニケーション・スターは一致せず,したがって,2段階ではなく3段階のコミュニケーション・フローが生じるというのが本稿の基本的な仮説である.
著者
原田 勉
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.93-111, 1998 (Released:2022-07-22)
被引用文献数
1

本稿の目的は,日本工作機械産業における技術革新のプロセスについて汎用・専用技術の相互転換プロセスという独自の概念によって分析し,その背後にある学習メカニズムについて明らかにすることにある.われわれは,汎用・専用技術の相互転換プロセスは両技術の相互浸透したインターフェイス知識の増大を伴うということを議論する.インターフェイス知識は,汎用・専用技術の相互転換プロセスを助長する機能をもっており,技術革新を推進していく上で極めて重要な役割を担っている.このようなインターフェイス知識をいかに効率的に蓄積していくかが今後の工作機械産業のみならず技術融合が進むハイテク産業においても重要な課題となることを議論する.