著者
永山 晋
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.44-58, 2021-06-20 (Released:2021-07-15)
参考文献数
69

機械学習をどのように活用すれば社会科学を発展させることができるのか.この問いを検討するため,本稿は現実の説明に向けた機械学習と,現実の制御に向けた機械学習の活用方法の2つの観点から既存研究を概観する.とりわけ,現実の制御に関する既存研究を,対象の制御形態としての最適化と拡張の観点から整理する.
著者
鳥海 不二夫
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.47-59, 2015-06-20 (Released:2016-04-07)
参考文献数
13

インターネットの発達とともにWEB上には様々な情報が蓄積され,一般ユーザが自ら情報を発信するconsumer generated media(CGM)の発展はめざましい.ブログやソーシャルメディアの利用が一般ユーザで広まり,本稿ではTwitterのビッグデータとはどのようなものなのか,その具体的な内容について説明し,それらを応用した研究・実用事例を紹介する.最後に,実際にデータを使ってみたい方のために,データの収集方法について紹介する.
著者
鈴木 宏昭 横山 拓
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.4-15, 2016-06-20 (Released:2016-09-05)
参考文献数
42

本稿では,組織の中に蓄積された暗黙知の明示化,公共化に関わる困難を認知科学的に分析する.その困難は,意識化すら不可能な知識が存在すること,言語が断片的であるがゆえに状況の復元に十分なパワーを持っていないことに由来する.こうした困難を克服するためには,知識を,場の中でマルチモーダルシミュレーションによって生み出され,改変され続けるものとして捉えることが必要とされる.また状況や身体の情報を豊かに伝える象徴的言語の利用も知識の伝達には有効である.
著者
石井 晃
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.5-20, 2015-06-20 (Released:2016-04-07)
参考文献数
16

ヒット現象の数理モデル(石井他2012)を社会の中の人間間相互作用の力学として紹介する.このモデルを社会的ニュース,映画興行,ドラマ視聴率,AKB 選抜総選挙に応用した.
著者
佐伯 胖
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.38-49, 2014 (Released:2015-04-25)
参考文献数
48
被引用文献数
5

「学習」をめぐって,行動主義心理学,認知心理学,認知科学,さらに状況的認知論がどのように扱ってきたかの歴史を振り返り,行動から認知,さらに社会との関連へと関心が移ってきた経緯を展望した.しかし,人が他者と共同的活動に参加するには,本当に人と人が「かかわりあう」ことが必要だが,その点が従来なおざりになっていることを指摘し,新たに「二人称的かかわり」を見直すことを提言する.
著者
松井 剛
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.87-99, 2013-03-20 (Released:2013-10-17)
参考文献数
35
被引用文献数
5

本論文は,「癒し」という流行語が社会に波及する中で生じた意味創造プロセスを,20年分の雑誌記事タイトル8033件のテキスト分析を通じて明らかにする.特に注目をするのは,マーケティングを通じて新しい言葉が普及する一方で,こうした言葉の流行に乗る形でマーケティング努力の模倣が生じるという相互作用である.またブームが生じた理由を説くメディアの「理屈づけ」が,こうした相互作用を強化する可能性も指摘される.
著者
鈴木 竜太
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.13-19, 2019-06-20 (Released:2019-10-30)
参考文献数
4

本稿は,質の高い論文についての論考である.本稿では,質の高い論文の要素として「無駄や無理のない」ことと「意味のある」ことをあげている.質の高さには,意味のあることがより重要な要素ではあるが,それがきちんと読者に伝わり,示されるという点で,無駄や無理のないことも重要な要素である.質の高い研究をするだけにとどまらず,それをいかに質の高い論文に仕上げるかということも研究者の重要なイシューである.
著者
山住 勝広
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.50-60, 2014 (Released:2015-04-25)
参考文献数
49
被引用文献数
3

今日,人間の活動は,文化的に多様な組織の間でのネットワークや協働など,新しい形態に向けて,急速にパラダイム転換している.本論文では,活動理論と拡張的学習の理論にもとづき,時や場所,あるいは階層レベルを横断するような,仕事の現場における新しい学習の形態について検討した.そのさい,ノットワーキングと呼ぶことのできる新しい協働のパターンに注目し,その中での学習と主体性の形成に焦点化した事例の分析を行った.
著者
高橋 潔
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.26-38, 2001-06-20 (Released:2022-07-30)
参考文献数
27

能力主義や成果主義の人事施策を実施していくうえで,公正で透明性の高い評価を実施していくことは不可欠である.しかし,人事評価は従業員から不満をもたれ,その納得度が疑問視されることも多い.本研究では,20,761名の組合員から得られた調査結果ならびに,東海地域の製造業を中心とした企業に勤める従業員1,823名から得られた調査結果を分析し,どのような要因が人事評価の納得度を規定しているかを検討する.
著者
楠見 孝
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.6-15, 2014 (Released:2015-04-25)
参考文献数
30
被引用文献数
5

ホワイトカラーの熟達化と,それを支える実践知(暗黙知)の構造,その獲得について認知心理学の知見に基づいて論じた.そして,ホワイトカラーに質問紙調査を実施し,マネジメントの暗黙知の獲得は,管理職経験年数,経験学習態度,批判的思考態度,類推,省察,職場内の暗黙知と形式知の知識変換が関与していることを示した.最後に,個人学習と組織学習の相互作用が実践知の獲得を促進し,管理職への熟達を導くことを議論した.
著者
藤原 綾乃
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.26-32, 2016 (Released:2016-12-14)
参考文献数
9

This study performed an empirical analysis of R&D based on technologies and knowledge embodied in people hired by advanced companies as engineers in emerging countries. In recent years, emerging companies in Asia have been recruiting numerous engineers from Japanese companies for their R&D efforts. This study empirically analyzed the R&D performance of companies for which engineers from Japanese companies have become employed. Result show that those engineers from Japanese companies contributed to increased patent production, patent complexity, and patent quality of companies in emerging Asian countries. However, the contribution is limited. Among the engineers from Japanese companies, engineers who contribute to increased patent production and who contribute to patent complexity, and patent quality are different.
著者
舟津 昌平
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.48-61, 2020-12-20 (Released:2021-01-14)
参考文献数
37

本研究の目的は,産学連携プロジェクトを題材として,制度ロジック多元性下において組織がどのように多元な制度ロジックを両立すべくコンフリクトに対応するのかについて明らかにすることにある.本研究は事例研究を通じて,科学ロジックと事業ロジックが構成する制度ロジック多元性が生み出すコンフリクトに対し,組織が科学とも事業とも異なる「第3のロジック」を道具的に活用して制度ロジックを両立することを明らかにした.
著者
井上 卓
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.48-60, 2021 (Released:2022-01-11)
参考文献数
26

コーポレート・ガバナンスの原義が「株主の利益のための経営者に対する監督の仕組み」であることから考えても,株主によって構成される,株式会社の最高意思決定機関である株主総会が本来の機能を発揮しているかどうかは,コーポレート・ガバナンス上の重要問題である.本稿では,長年「形骸化」が問題視されてきた日本の上場企業の株主総会の歴史と実態を踏まえ,株主総会の「実質化」とその再生への道筋を考察する.
著者
酒井 健 井澤 龍
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.4-14, 2022-06-20 (Released:2022-09-17)
参考文献数
70

経営・組織論研究における歴史的転回では,経営・組織現象の「歴史的背景の研究」と,アクターが明示的に語った過去自体に焦点を当てる「歴史語りの研究」とが柱になってきたが,近年では後者が有力になっている.この状況認識に基づき,本稿では,この領域で今後有望になる研究を検討し,「埋め込まれた過去の使用」・「過去の使用の変化」・「イベント解明」・「ダイナミズム説明」という4つの針路を特定した.
著者
谷口 諒
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.66-81, 2017-06-20 (Released:2018-01-15)
参考文献数
60

本稿の目的は,組織論的視点から我が国の政策に係る問題を考察することにある.日本の重点政策下では,当該政策と本来関連の薄い政府事業が予算を獲得しており,予算を通じた「選択と集中」が必ずしも達成されているわけではない.こうした問題は,「便乗予算」として指摘されている.本稿では,シンボリック・マネジメントの分析枠組みを用いることで,重点政策下で便乗予算という組織病理現象が生じるメカニズムを考察する.
著者
沈 政郁
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.38-51, 2014-09-20 (Released:2015-02-17)
参考文献数
40
被引用文献数
5

本稿では能力が劣るにも拘わらず血縁関係で新規経営者になるという意味での血縁主義がどのような結果をもたらすかについて,日本の同族企業の長期データを用いて実証分析した.学歴を能力の代理変数として利用し,新規経営者をエリートと非エリートに区分して,非エリート親族承継をその他の事業承継タイプと比較した.単純なDID(Difference-in-Differences)分析,幾つかの要因を制御したDID分析,新規経営者になるまでの経験の違いを制御した回帰分析,事業承継イベントをランダム化するための操作変数推定の結果,非エリート親族承継は婿・婿養子承継及び非同族企業の専門経営者承継に比べて経営者交代前後で業績の悪化を示した.
著者
淺羽 茂
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.38-44, 2019-06-20 (Released:2019-10-30)
参考文献数
14

研究の評価軸は,科学的価値か社会的インパクトか,小さくても厳密な貢献かラディカルな貢献か,流行りに乗るか差別化を強調するか,というように多様であり,かつトレードオフの関係にある.いずれを選択するかに正解はなく,各々の研究者に選択権が付与されている.その選択は,自分が面白いと思うかどうかでなされるべきであり,ゆえに自分の研究は面白い,面白い研究かどうか判断する目を自分は持っているという自信を持つことが大事である.
著者
平本 毅 山内 裕
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.61-72, 2019-06-20 (Released:2019-10-30)
参考文献数
32

成員の認識を組織の分析にどう取り込むかという問いを,組織研究の主題の1つとして挙げることができる.解釈主義的アプローチに分類される組織論者達が,この問いに取り組んできた.本稿では,旧来このアプローチに分類されることの多かった社会学のエスノメソドロジーの位置付けを再考し,また透析治療場面の経験的分析を通じて,エスノメソドロジーが解釈主義とは別の仕方で,組織認識研究に貢献をもたらすことを明らかにする.
著者
林 洋一郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.46-57, 2012-09-20 (Released:2013-10-01)
参考文献数
37

本論文では,「正義・公正」について哲学に基づく規範的研究と組織行動や心理学に基づく経験的研究の双方を論じた.正義に関する規範研究と経験研究の双方を展望した結果,両者の関連性があまり強くないことが明らかにされた.さらに「規範的論議-経験的論議」そして「ミクロ-マクロ」というふたつの軸を組み合わせることによって今後の研究方向について議論した.
著者
青木 英孝
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.18-30, 2021 (Released:2022-01-11)
参考文献数
31

トップ・マネジメント特性,経営者インセンティブ,所有構造などの企業ガバナンス要因が,粉飾決算,産地偽装,実験データ改竄,カルテルなどの意図的不祥事,およびリコール,情報漏洩,集団食中毒などの事故的不祥事に与える影響を定量的に検証した.その結果,コーポレート・ガバナンスは企業不祥事に影響すること,不祥事の種類によって有効なガバナンスが異なること,ガバナンスでは防げない不祥事もあることが判明した.