- 著者
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福井 準之助
山口 建二
仲間 三雄
富田 康敬
原田 勝弘
小俣 和一郎
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.76, no.10, pp.1561-1566, 1985-10-20
71歳,16歳,23歳女性に生じた3例の心因性尿閉を報告する.全症例共,神経学的検査で異常なく,器質的下部尿路閉塞も認められなかった.2症例で尿閉は"emotional stress"の後に生じた.症例1では両側VURと軽度の肉柱形成膀胱を認めたが,症例2と症例3では通常の泌尿器科検査では異常がなかった.全症例で膀胱容量は500ml以上で尿流動態検査にて排尿中の外括約筋のaction potentialの増大を認めた.精神科的考察では,症例1はdepressionの1つの型であり,抗うつ剤の投与で尿路症状の改善をみた.症例2はヒステリーであり,精神安定剤と自律神経訓練法により尿路症状の改善をみた.症例3は神経分裂病によるもので,種々の治療に対し抵抗性であった.結婚と共に症状の消失をみたが,その後離婚し,再び残尿の増大を認められた.心因性尿閉の治療は,泌尿器科医と精神科医との協力の下でなされるべきである.