著者
原田 博文 白石 君男 加藤 寿彦 曽田 豊二
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1180-1184, 1990-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
8

陸上自衛官の定年退職時の聴力検査を行い, 同年代の騒音に暴露されていない人と比較して2kHz以上の高音域に聴力低下を認めた.騒音環境によつて分類したグループA, B, Cの間に純音聴力閾値, 耳鳴を訴える人数に有意差を認めなかつた.聴力低下の始まる周波数別に分類すると難聴者の75%は高音域に聴力低下が観察された. 大火器射撃音に暴露されたグループBは1kHz以下の低音域から聴力低下の観察されるものが多かつた.聴力低下と喫煙・高血圧・高脂血症・糖尿病の間には特に関連を認めなかつた.
著者
原田 博文 池田 宏之 近藤 毅 白石 君男 加藤 寿彦
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.193-199, 1998-06-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

自衛官の急性音響性感音難聴20例24耳について, その回復過程を純音聴力検査にて観察した。症例は18歳から48歳までの男性であった。聴力が正常範囲まで回復した治癒群が5耳, 正常範囲までではないが回復の認められた回復群が13耳, 不変群が6耳であった。音響曝露から受診までの日数が長い症例は不変例が多かった。個々の周波数ごとの回復過程を観察すると, 4000Hzの回復が最も不良であり, 次いで8000Hz, 2000Hzの順であった。急性音響性感音難聴の予後は, 4000Hzの聴力レベルに着目し, それが徐々に回復していけば, 正常範囲まで回復する可能性が高く, 早期にプラトーに達し動かなくなると, 部分的回復にとどまると推測された。