著者
原田 博文 池田 宏之 近藤 毅 白石 君男 加藤 寿彦
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.193-199, 1998-06-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

自衛官の急性音響性感音難聴20例24耳について, その回復過程を純音聴力検査にて観察した。症例は18歳から48歳までの男性であった。聴力が正常範囲まで回復した治癒群が5耳, 正常範囲までではないが回復の認められた回復群が13耳, 不変群が6耳であった。音響曝露から受診までの日数が長い症例は不変例が多かった。個々の周波数ごとの回復過程を観察すると, 4000Hzの回復が最も不良であり, 次いで8000Hz, 2000Hzの順であった。急性音響性感音難聴の予後は, 4000Hzの聴力レベルに着目し, それが徐々に回復していけば, 正常範囲まで回復する可能性が高く, 早期にプラトーに達し動かなくなると, 部分的回復にとどまると推測された。