著者
吉井 千春 加濃 正人 磯村 毅 国友 史雄 相沢 政明 原田 久 原田 正平 川波 由紀子 城戸 優光
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.45-55, 2006-03-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
33 26

喫煙習慣は心理的依存と身体的依存から成り立っている. 我々は心理的依存の一要素として社会的ニコチン依存という新しい概念を考え出し, それを評価する新しい調査票として「加濃式社会的ニコチン依存度調査票Version 2」(the Kano Test for Social Nicotine Dependence; KTSND)を作成した. KTSNDは10問30点満点からなるが, その有用性を検討するため製薬会社社員に配布し, 344名から有効な回答を得た. 喫煙者(105名), 元喫煙者(88名), 非喫煙者(151名)の各群で, 総合得点は18.4±5.2, 14.2±6.1, 12.1±5.6と3群間でいずれも有意差を認めた. 設問別の検討では10問すべてで喫煙歴による有意差を認めた. さらに喫煙者をニコチンの身体的依存の指標である「1日喫煙本数」および「朝の1本を起床何分後に吸うか」で亜分類し, 総合得点との関連を検討したが, ほとんど差は出なかった. これに対して禁煙のステージによる亜分類では, 全く禁煙の意志がないimmotives(無関心期)で22.4±6.3, precontemplators(前熟考期)が19.0±3.9, contemplators(熟考期)が16.1±3.8, preparers(準備期)が14.5±5.9と, 各群間で有意差を認めた. これらの結果から, KTSNDは喫煙習慣の有無や禁煙のステージをよく反映し, 喫煙の心理的依存を評価する手段として有用な方法と考えられた.
著者
松浦 信夫 藤枝 憲二 福島 直樹 三上 裕平 原田 正平
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.225-231, 1987

IDDM小児35例に半合成ヒトインスリン100単位製剤を使用し, その臨床鮪用性, 安全齢よび免疫原性にっいず検討した.ヒトインスリン使用前のインスリン製剤により対照を2群に分けて検討した.A群 (n=15) にブタ純化インスリン (モノタード, アクトラピットインスリン), B群 (n=20) はU-100レントインスリンおよびアクトラピットインスリン使用群であり, ヒト純化インスリン治療に変更後に比較して以下の結論が得られた.<BR>1.同じ組成, 単位のU-100レントインスリンまたはブタ純化インスリンとヒトインスリン注射後の血糖変化, 血漿Total, Free insulinの変化には差がみられなかった.<BR>2.U-100レントインスリン治療群 (B群) のIgG型抗インスリン抗体価はブタ純化インスリン群 (A群) に比し有意な高値を示した.<BR>3.ヒトインスリン変更後, 特にIgG型抗インスリン抗体価は有意に低下した.<BR>4.ヒトィンスリン変更後, A群ではインスリン使用量に大きな変化はみられなかったが, B群では有意にその使用量が低下した.<BR>5.U-100レントインスリンからヒトインスリンに変更するときには低血糖発生の確率が非常に高く, 充分な注意が必要であり, ほぼ20%減のヒトインスリンで変更するのが安全と思われた.