著者
古屋 佳子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.53-63, 2007

本稿では,看護学生の臨地実習に先立ってアサーション・トレーニングを導入したことの意義と課題を,実習終了後の学生アンケートから検討した.学生の多くは,実習のみならずさまざまな関係・場面でアサーティブを意識し経験していた.この経験は,主として"お互いを尊重できた"というものであり,「いい感じ」や「ケンカが減った」など,自己内外の変化を伴ったものであった.特に,実習グループ内でのアサーティブ概念の共有は,実習を円滑に進める役割を果たしていた.さらに,実習開始直前の演習であったことが,グループダイナミクスを推進する役割を果たしていた.これらから,この演習企画が,本看護学生の実習導入に適したものであったとの結論を得た.また,少数ながら,この演習を「覚えていない」「意識しなかった」学生もあり,そこから企画の内容をより充足させ,サポートしていく必要性を示唆されるなど,教育上の課題を検討できた.
著者
古屋 佳子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.113-123, 2006

熟練技能を具えた身体と身体に根ざした知性は,徹頭徹尾社会的かつ歴史的な性格を刻印されている.反応し行動する能力としての身体は,意味を帯びた状況と,己の取り込んでいる文化的意味に反応するからである.(中略)つまり身体は無反応な機械と決して同列には考えられないこと,むしろ身体は社会的に定義された状況に対し,意味を通じて反応することで,回復を促進したり,逆に害を引き起こしたりするのだということをここで改めて確認しておきたいのである.