著者
古屋 敬士 越村 俊一 日野 亮太 太田 雄策 井上 拓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_307-I_312, 2016

今日の地震・津波観測網の充実や計算機演算性能の向上により,実際に起きた津波に対して,沿岸部到達前に浸水被害予測を行うリアルタイム津波シミュレーションが達成されている.一方,即時的に推定された断層パラメータによる津波予測には,津波波源モデルの不確実性が十分に考慮されず,予測以上の津波被害が生じる恐れがある.それを防ぐには,即時的に得られた地震情報から起こりうる最悪の津波シナリオを瞬時に予測する必要がある.本研究では地震発生直後に得られる緊急地震速報から,最悪の津波シナリオを即時推定する二段階多数津波シナリオ解析手法を構築し,その精度検証を行った.その結果,本研究で提案した手法により,緊急地震速報発表から3分程度以内で,起こりうる観測点最大津波高を平均97%の精度で推定可能であることが分かった.