著者
越村 俊一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.822-828, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
4

最先端のシミュレーション・センシング・ICTを統合し,津波発生直後のきめ細かな津波情報や,迅速な被害情報の推計・把握と配信を通じて被災地を支援し,災害に対するレジリエンス(回復力)の向上とわが国の国土強靱化に資する,世界最先端のG空間防災モデルを確立した。スーパーコンピューターの活用により,沿岸部10mメッシュ分解能でのリアルタイム津波浸水予測(浸水する範囲と深さの予測)を可能とし,その予測とG空間情報の活用による建物被害予測を,地震発生から20分以内を目安に完了させ,実証自治体での災害対応の基盤情報に組み込んだ他,準天頂衛星からのメッセージ送信や災害に強いワイヤレスネットワークを活用し,住民等の利用者に対して確実に情報を配信するシステムを構築した。東北地方の津波被災地,南海トラフ巨大地震による被害が想定される自治体において本システムの実証実験を行い,システムの活用性を高めることができた。
著者
柳澤 英明 越村 俊一 宮城 豊彦 今村 文彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.286-290, 2008-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

The fragility function of mangrove forest was proposed based on field surveys and the numerical analysis focusing mangrove forests affected by the 2004 Indian Ocean tsunami. The curve of growth for mangroves (Rhizophora spec.) was also proposed in order to estimate the change of the tsunami reduction effect depending on the age of them. Using these proposed functions, the numerical modeling was carried out to evaluate a tsunami reduction effect. As the results, we found that the mangrove forest with 10-year-old is mostly destroyed and the reduction effect rapidly decreases when the tsunami inundation depth exceeds 4m.
著者
河田 恵昭 奥村 与志弘 越村 俊一 藤間 功司 永井 紀彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.261-265, 2004

2003年十勝沖地震津波は我が国の津波予警報システムの盲点を突いた. 気象庁は地震発生4時間後に警報を解除し, それに同調して沿岸部自治体は避難勧告を解除した. しかし, その後になってエッジ波が最大波に匹敵する波高を伴って来襲した. 本研究では, エッジ波の防災上の問題点に着目し, エッジ波の予測に必要な条件を求めた. また, 北海道太平洋岸で発生し得る巨大地震を想定し, 大陸棚上にエッジ波が発生する場合の津波予警報解除の基準を求めるための基礎資料を得た. 特に, 室蘭-浦河間と浦幌-花咲間の予報区では発震後6時間は津波警報・避難勧告の維持が必要であることが分かった.
著者
片田 敏孝 児玉 真 桑沢 敬行 越村 俊一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.789, pp.93-104, 2005-05-21
被引用文献数
3 11

2003年5月の宮城県沖の地震では, 三陸沿岸各地で震度4~6弱が観測され, 津波襲来が直ちに懸念された. しかし, 地震後に著者らが宮城県気仙沼市の住民を対象に実施した調査によると, 津波を意識して避難した住民は, 全体のわずか1.7%であった. このように避難率が低調となった要因を把握するため, 住民の避難行動とその意識的背景を分析した結果, 避難の意思決定を避難情報や津波警報に過度に依存する姿勢や, 正常化の偏見による危険性の楽観視, 過去の津波経験による津波イメージの固定化といった住民意識の問題点が明らかとなった. 本稿では, これらの問題点を解決するための津波防災教育として, 固定化された津波災害のイメージを打破すること, また, 情報に対する過度な依存心を改善することの必要性など, 今後の津波防災のあり方を提言した.
著者
藤間 功司 鴫原 良典 富田 孝史 本多 和彦 信岡 尚道 越村 俊一 藤井 裕之 半沢 稔 辰巳 正弘 折下 定夫 大谷 英夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1381-1385, 2005
被引用文献数
1

2004年12月26日に発生したインド洋津波は, 震源から2, 000km離れたモルディブでも人的・物的に大きな被害をもたらした. そこでモルディブで現地調査を行った結果, モルディブの痕跡高が0.6-3.4m程度であること, リーフが発達している場所でも必ずしも痕跡高が小さくなっているわけでないこと, また南マレ環礁で複雑な流れが観察されており, 環礁内の津波の挙動が複雑であることなどが分かった. モルディブの津波に対する安全性を高めるには強固な構造物や人工地盤などの整備が必要である.
著者
片田 敏孝 児玉 真 桑沢 敬行 越村 俊一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.789, pp.789_93-789_104, 2005 (Released:2006-04-07)
参考文献数
17
被引用文献数
15 11

2003年5月の宮城県沖の地震では, 三陸沿岸各地で震度4~6弱が観測され, 津波襲来が直ちに懸念された. しかし, 地震後に著者らが宮城県気仙沼市の住民を対象に実施した調査によると, 津波を意識して避難した住民は, 全体のわずか1.7%であった. このように避難率が低調となった要因を把握するため, 住民の避難行動とその意識的背景を分析した結果, 避難の意思決定を避難情報や津波警報に過度に依存する姿勢や, 正常化の偏見による危険性の楽観視, 過去の津波経験による津波イメージの固定化といった住民意識の問題点が明らかとなった. 本稿では, これらの問題点を解決するための津波防災教育として, 固定化された津波災害のイメージを打破すること, また, 情報に対する過度な依存心を改善することの必要性など, 今後の津波防災のあり方を提言した.
著者
河田 恵昭 鈴木 進吾 越村 俊一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1276-1280, 2005
被引用文献数
1

臨海都市域はその集積性および空間利用の多様性から, 一旦津波が浸入すると甚大な被害を受けることが指摘されている. 本研究は大阪湾沿岸都市域を対象に, この地域に整備されている防潮堤に付随する防潮扉を閉鎖することによる市街地の減災計画手法について検討した. 第一に長期評価が発表された大阪湾断層帯で発生する津波の特性を解析した. 第二に防潮扉の物理的機能維持や閉鎖体制などに内在する不確定性を確率で表すことにより, 防災対策効果を含んだ地域脆弱性の評価手法を開発した. 第三に防潮扉ごとの閉鎖強化による浸水危険域面積および一般資産被害の軽減効果を量る指標を検討し, その優先順位を決定する手法を考案した.
著者
佐藤 兼太 越村 俊一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_145-I_150, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
11

3次元流体解析による市街地スケールの大規模津波浸水シミュレーションは,計算負荷・コストの点で依然課題があり,京コンピュータなどのHPCIを活用した事例など,限られた環境でしか実現できていない.陽的な解法であることと並列化効率が高いことは,大規模領域における解析には重要な要件であり,その点で格子ボルツマン法(以下,LBM)が注目されているが,自由表面流れ解析において計算が不安定となりやすいことが報告されている.本研究ではLBMで現れる擬似的な圧縮性に注目し,簡便な非圧縮流体モデルを適用することで計算の安定を図った.本研究で提案した手法により時間刻み幅が大きく,従来のLBMでは計算が不安定となる条件においても安定した解析が可能となった.必要な計算量を従来のLBMと比べ,削減することが可能なモデルを開発した.
著者
古屋 敬士 越村 俊一 日野 亮太 太田 雄策 井上 拓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_307-I_312, 2016

今日の地震・津波観測網の充実や計算機演算性能の向上により,実際に起きた津波に対して,沿岸部到達前に浸水被害予測を行うリアルタイム津波シミュレーションが達成されている.一方,即時的に推定された断層パラメータによる津波予測には,津波波源モデルの不確実性が十分に考慮されず,予測以上の津波被害が生じる恐れがある.それを防ぐには,即時的に得られた地震情報から起こりうる最悪の津波シナリオを瞬時に予測する必要がある.本研究では地震発生直後に得られる緊急地震速報から,最悪の津波シナリオを即時推定する二段階多数津波シナリオ解析手法を構築し,その精度検証を行った.その結果,本研究で提案した手法により,緊急地震速報発表から3分程度以内で,起こりうる観測点最大津波高を平均97%の精度で推定可能であることが分かった.
著者
越村 俊一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.822-828, 2017

<p>最先端のシミュレーション・センシング・ICTを統合し,津波発生直後のきめ細かな津波情報や,迅速な被害情報の推計・把握と配信を通じて被災地を支援し,災害に対するレジリエンス(回復力)の向上とわが国の国土強靱化に資する,世界最先端のG空間防災モデルを確立した。スーパーコンピューターの活用により,沿岸部10mメッシュ分解能でのリアルタイム津波浸水予測(浸水する範囲と深さの予測)を可能とし,その予測とG空間情報の活用による建物被害予測を,地震発生から20分以内を目安に完了させ,実証自治体での災害対応の基盤情報に組み込んだ他,準天頂衛星からのメッセージ送信や災害に強いワイヤレスネットワークを活用し,住民等の利用者に対して確実に情報を配信するシステムを構築した。東北地方の津波被災地,南海トラフ巨大地震による被害が想定される自治体において本システムの実証実験を行い,システムの活用性を高めることができた。</p>
著者
大谷 英夫 藤間 功司 鴫原 良典 富田 孝史 本多 和彦 信岡 直道 越村 俊一 折下 定夫 辰巳 正弘 半沢 稔 藤井 裕之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1376-1380, 2005
被引用文献数
2

インド洋大津波は震源から2000km離れた環礁島モルディブにも大きな被害を残した. 空港島では, 護岸や建屋の被災, 10時間の空港閉鎖等の被害が見られたのに対し, それに隣接するマレ島では死者は無く, 建屋の被害もわずかと, 被災規模の差が大きい. また, マレ島では護岸が津波の被害を食い止めたと指摘されているが検証はなされていない. 本研究では, マレ島の浸水域, 空港島の津波痕跡高, 状況証言, 構造物破壊形態について現地調査を行い, 津波痕跡および被災状況の実態を明らかにした. さらに, 伝播計算を援用し津波の挙動を明らかにし, 被災メカニズム, 護岸・離岸堤の効果を検証した.
著者
越村 俊一 行谷 佑一 柳澤 英明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.320-331, 2009 (Released:2009-12-18)
参考文献数
55
被引用文献数
1 2

津波数値解析技術の高度化およびリモートセンシング技術・地理情報システム(GIS)の普及を背景に,新しい津波被害想定指標としての津波被害関数の概念とその構築手法を提案した.津波被害関数とは,津波による家屋被害や人的被害の程度を被害率(または死亡率)として確率的に表現し,津波浸水深,流速,波力といった津波の流体力学的な諸量の関数として記述するものである.本稿では,被災地の衛星画像,数値解析,現地調査結果および歴史資料の分析を通じて被害関数を構築し,津波外力と被害程度の関係についての考察を行うとともに,被害関数の適用性や工学的利用にあたっての留意点について論じた.
著者
佐藤 太一 河野 達仁 越村 俊一 山浦 一保 今村 文彦
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
no.10, pp.393-400, 2008-11

Many evacuation simulation models have been developed. However, all the models exogenously set the rate of evacuation and the evacuation route which are inherently determined by residents. With the exogenous settings, these models can not follow the change in the residents' behavior according to changes in policies. Therefore, it is necessary to model residents who evacuate based on their individual rationality. And now, it is known in particular that residents will not evacuate by some psychological factors (e.g. cognitive dissonance). This paper, focusing on cognitive dissonance as psychological factors, constructs an evacuation model incorporating individual rationality and cognitive dissonance. As a result, we show the effects of cognitive dissonance on the residents' evacuation.
著者
越村 俊一
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

巨大地震災害発生直後の津波災害インパクトの即時的開示を目標とした広域被害把握技術の体系を構築した.広域被害把握までの流れは,数値解析と津波被害関数による浸水域内建物棟数および被害棟数の推定,衛星画像解析による津波浸水状況の把握,浸水域内建物棟数の推計,航空写真の判読による建物被害の把握,航空写真・衛星画像による瓦礫量の把握という,4つの技術で構成する.本研究では,2011年東北地方太平洋沖地震津波災害を事例として上記研究の実証を行い,その有効性と課題を明らかにすることができた.
著者
河田 惠昭 林 春男 柄谷 友香 寶 馨 中川 一 越村 俊一 佐藤 寛 渡辺 正幸 角田 宇子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

フィリッピンのイロコス・ノルテ州を流れるラオアグ川を対象として,発展途上国の開発と防災戦略の事例研究を実施した.この州とラオアグ市にとってはコンクリート製の連続堤防はいくつかの点で歓迎すべき構造物である.それは,台風のたびに発生していた洪水や浸水から開放されること,第二に旧河道や氾濫原において氾濫を」前提としない開発が可能になること,第三に頻繁な維持管理を必要としない構造物は,行政の維持管理能力の低さを補うことができることである.しかし,異常な想定外の外力が働いた場合,氾濫を前提としない開発や生活が被災し,未曾有になる恐れがある.援助側の技術者は,非構造物対策,すなわち,1)構造物を長期にわたって維持管理するための対策,2)住民の防災意識を高めるための対策,3)気象情報の収集と伝達,危険地域の把握,避難勧告など被害抑止のための対策,4)救援活動など被害軽減のための対策が含まれることを知らなければならない.すべての対策において,援助が何らかの役割を果たすためには,まず行政や住民の災害への対応の現状と過去を知る必要がある.調査期間中,台風が来襲し,堤防が決壊し被害が発生した.その原因としては,堤防建設技術の未熟さが指摘でき,防災構造物建設のための必要な知識や技術の取得と移転,実際の建設時における遵守など,構造物を根付かせるための対策も援助側は考えなければならないことがわかった.援助側の技術者は,非構造物対策を考慮に入れた上で,どのような構造物が地域に根付くかを計画する必要がある.そのためには社会を研究している専門家の参加を得て,地域の履歴を知ることは開発援助ではとくに重要である.それは,1)記憶の蓄積と共有化,2)被災者像,3)防災意識の向上の過程,4)防災対策の有無,5)被災者の生活・生計を誰が助けたのか,6)復旧における住民の労働力提供の有無を調べることは価値がある.
著者
首藤 伸夫 今村 文彦 越村 俊一
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

大洋を伝播して沿岸部に来襲する遠地津波の予報精度向上を目指し,本研究グループは,(1)外洋から大陸棚に入射した遠地津波の多重反射と津波エネルギーの捕捉・減衰特性の解明,(2)リアルタイム観測情報を用いた津波波源域の推定,(3)津波伝播途上における波数分散効果の解明の3点について,研究を行った.(1)では,外洋から陸棚斜面に入射した津波の伝播・減衰特性を理論的に解析した.岸沖方向に有限な陸棚斜面を想定し,沖合からの任意の入射波形に対する斜面上の津波伝播を表す理論解を求め,さまざまな入射条件において得られた理論解を整理し,特に斜面上における津波の多重反射現象に着目し,津波の捕捉・増幅・減衰特性に関する知見を得た.(2)では,従来からの地震波解析から得られる震源過程の情報に加えて,観測される津波の波形から津波波源域の空間的な諸量をリアルタイムで推定する手法を開発した.地震波解析から即時的に得られる震源要素は,震央位置,震源深さ,マグニチュード,メカニズム解である.これらの情報に加え,津波の解析を行うためには断層面の空間的な広がりを知る必要があった.従来までは余震観測により断層面の空間スケールを決定していたが,これでは津波の量的な予報には間に合わない.断層の空間スケールが発生する津波の波形に反映されることに着目し,津波の観測波形から断層面の幅と長さをリアルタイムで推定することにより,最大でも20%以内の誤差で波源推定が可能であることを示した.(3)では,特に遠地津波の予測に重要な波数分散効果を,津波発生域から遡上までのすべての伝播過程において評価できる数値モデルを開発し,日本海中部地震津波の再現を試みた結果,従来では困難であったソリトン分裂による津波増幅を良好に再現できることが分かった.
著者
今村 文彦 片田 敏孝 牛山 素行 越村 俊一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

人間は知覚機能などを通じて外的な脅威に関する情報と自分の現在の状況を収集し,その相互関係で危険を認識する.さらに,避難行動の際にも経路の状況を判断して,より安全に避難場所へ移動しようとする.このような知覚機能を重点に置き情報と人間行動の関係を検討することを目的とした.研究の中で,過去の災害データ,ハザードマップ,体験型学習,避難訓練を通じて,住民や行政担当者にどのようにして認知されそれが知識化し,どの位の期間まで記憶化されるのかを調査研究を行った.その中で,2003年5月の宮城県沖の地震では,三陸沿岸各地で震度4〜6弱が観測され津波襲来が直ちに懸念されたが,津波を意識して避難した住民は,全体のわずか1.7%であった.この要因を把握するため,住民の避難行動とその意識的背景を分析した結果,避難の意思決定を避難情報や津波警報に過度に依存する姿勢や,正常化の偏見による危険性の楽観視,過去の津波経験による津波イメージの固定化といった住民意識の問題点が明らかとなった.このような現状を踏まえ災害情報の受取側の課題を解決するために,津波災害を対象に地域および学校での2種類の取り組みを実施した.1つは,住民参加型の津波防災サイン検討会における住民参加型防災対策の実施であり,地域住民のみならず観光客も対象とした津波避難サインの設置を目指した.もう1つは,体験・参加型の学校での学習である.いずれも,課題を解決する内容を含んでいるものの,既存の活動や教育プログラムに取り込む方法や継続的な内容にする工夫が必要であることが分かった.
著者
今村 文彦 後藤 和久 松本 秀明 越村 俊一 都司 喜宣 牧 紀男 高橋 智幸 小岩 直人 菅原 大助 都司 嘉宣
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

千年に一度程度発生する低頻度巨大津波災害であるミレニアム津波ハザードの事例を取り挙げ,災害史学から明らかにされる史実に加え,地質学・堆積学・地形学・地震学など科学的な手法に基づいて補完することで,沖縄および東北地方でのミレニアム津波ハザード評価を検討した.まず,八重山諸島において津波で打ち上がったサンゴ化石(津波石)の分布調査および解析により,1771年明和津波に加え,850,1100 yrBPの2期存在する可能性が示された.さらに,仙台平野でも学際的な調査を行い,869年貞観地震津波に加え,1260や2050yrBPされた.2011年東日本大震災で得られた津波被害関数などの検討も実施した.
著者
目黒 公郎 越村 俊一 高島 正典 近藤 伸也 村尾 修 庄司 学
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,津波災害経験の乏しい発展途上国を主な対象として,効果的な津波防災対策を実施する際に必要な総合的な津波防災戦略のモデルを提案するとともに,いくつかの発展途上国への具体的な導入考えた場合の課題を整理した上で,津波警報システムを構築するものである.その結果、津波を探知し,警報を出し,住民を避難させるまで,総合的に支援するシステムを長期的に維持する基盤が整った.