著者
丸山 雅和 長島 美幸 白瀬 昌宏 古屋 香 松田 訓弘 成田 孝行
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.107, 2006

今回、過去5年間におけるシリンジポンプ保守管理データについて、機器不具合事例をFMEA分析によって定量評価し、現シリンジポンプ中央管理体制に関して考察したので報告する。<br><b><方法></b> 保守管理データより発見し得たシリンジポンプ不具合の各事例に対し、当院独自に定義したFMEAワークシート及び評価点表を作成し、機器不具合の影響度、致命度、RPN(危険優先指数)を算出し、定量評価及び特性要因図を作成、現シリンジポンプ中央管理、保守管理体制における改善箇所の抽出とシリンジポンプの安全管理に向けた対策を考察した。<br><b><結果></b> 過去5年間の保守管理データより、RPN平均4.93、(最高値:16.8、最小値:0.308)、致命度平均975.5/6000(最高値:2160、最小値:96)影響度平均29.3/60(最高値:38、最小値:7)を得た。<br><b><考察・まとめ></b> 致命度、影響度、RPN(危険優先指数)を算出することにより明確な対策作成順序及び中央管理体制、保守管理法に関する対策を明瞭化することができた。当院における現シリンジポンプ中央管理体制は基本的に予防保守を行っておらず、発生不具合の致命度、影響度について診療を観点に入れて評価すると、評価内において下位にあったものでも診療においては無視できるものではないと思われた。<br> 今回のFMEA結果より中央管理・保守管理体制におけるシリンジポンプ予防保守の必要性または中央管理方法の改善は示唆されたものの、経済的要因やマンパワー等を考慮すると完全な予防保守は不可能であるのが現状である。今回の結果を更にいろいろな観点から分析し、より信頼性の高い体制を確立していくこと、及び保守管理データの評価を行いデータベースとして活用できるシステムの構築が望まれる。