著者
川井 蔦栄 高橋 美知子 古橋 エツ子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.83-96, 2008-03
被引用文献数
3

近年の日本ではTVゲームなどの発達により子どもの本離れが社会的問題になっている。とりわけ幼児期における親子のコミュニケーションの欠落にもつながる最も重要な要因の一つと考えられるため親が子どもに絵本を読み聞かせることの効用(効果)に注目した。本研究では子どもが通う幼稚園で「絵本の読み聞かせボランティア活動」を実施している保護者(親たち)へのインタビューをし、その結果と過去の保育所の結果を比較して、相互作用解析を行った。その結果、本の読み聞かせを行った親子ではそうでない親子と比べ親子間の話題、コミュニケーション(身体的接触を含む)の増加が顕著に見られた。本の読み聞かせは読書離れだけでなく幼児期の親子のコミュニケーションの改善にも有益と期待できる。
著者
片山 由美 川井 蔦栄 高橋 美知子 古橋 エツ子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.13-21, 2009-03

わが国の幼稚園教育では、生涯を通して生きる力の基礎を作るために重要な項目として文部科学省によって規定された5つの重点領域がある。これらは環境(自然とのふれあい)・健康(自分自身の健康に関する理解、自覚)・人間関係(幼稚園での生活上の人間関係)・表現(読み書きによる感情表現能力)・言葉(コミュニケーション、意思伝達能力)を意味し、これら5領域を総合的に指導する方法が議論されている。当幼稚園では、この5領域を総合的に指導するために、園児による動物の世話を実施している。本研究では、園児を参与観察(注:研究者が、一緒に行動しながら、保育者と園児の言動を観察すること)することで、5領域の総合的な指導への効果を考察した。その結果、園児の自主性、生に対する倫理観、コミュニケーション能力、衛生健康への理解能力などに、進展が見られた。また、環境と健康はとりわけ基礎的な内容を含んでおりこの2つの領域に、今後さらに重点的に取り組む必要があると考えられる。