著者
古澤 礼太
出版者
日本沙漠学会
雑誌
沙漠研究 (ISSN:09176985)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.73-79, 2016 (Released:2016-11-07)
参考文献数
5

ガーナ共和国首都のアクラに住むガ民族は,本来漁労民であるが,トウモロコシを中心とした食文化を発達させてきた.本稿では,そのガのトウモロコシ食文化を次の二方法によってあきらかにした.まず,ガのトウモロコシ食文化の全体像の解明を,トウモロコシ食品の儀礼的利用(新生児の命名式や葬式,新年祭におけるトウモロコシ食品および飲料の利用),トウモロコシ食品の多様な調理法,発酵食品の存在という3点をあきらかにすることによって試みた.次に,主食であるコミ(Komi)に焦点を当てて,コミ料理の調理方法と食べ方をあきらかにしたが,コミが現在,家庭では調理されず,町内のコミ製造・販売店で購入されていることが判明した.その理由として,コミの製造とコミ販売店の実態調査から,コミ調理が家庭内調理では継続困難な重労働であることに起因することが判明した.そして最後に,一家族の一カ月にわたる食事内容調査にもとづき,が民族の食事文化の実態とそのなかにおけるコミの位置づけをあきらかにした.