- 著者
-
木下 芳一
古田 賢司
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.101, no.2, pp.480-487, 2012 (Released:2013-04-11)
- 参考文献数
- 27
大部分の逆流性食道炎例ではその治療は難しくはない.プロトンポンプ阻害薬(PPI)を用いた標準治療を行うと8週間で逆流性食道炎例の90%の食道びらん・潰瘍を,80%の自覚症状を消失させることができる.問題はPPI治療に抵抗する少数例の治療をどうするかである.標準的なPPI治療が不成功となる最も重要な原因はPPIによる胃酸分泌抑制が不十分であることである.そこでPPI治療抵抗性の逆流性食道炎の治療では胃酸分泌抑制をより強力にすることを目的として(1)PPIの投与量を増やす,(2)PPIの食前投与や2分割投薬を行う,(3)PPIの種類を変える,(4)PPIに加えて胃酸中和薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬を追加投薬する,などの対応をおこなう.これらの治療を行うことで,逆流性食道炎例の自覚症状を消失させ,またLos Angeles分類grade C,Dの重症例では症状を消失させるだけではなく合併症を予防することが可能となる.